第54話 臆病鬼
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「霧香」
「ん?」
「彼を憐れんではいけないよ」
晴哉は優しくそう言った。
「これは彼自身が解決することだ、周りが騒ぐことじゃない、憐れんではむしろ彼の心を閉ざすことになってしまう」
「うん・・・」
「大丈夫さ、きっと機会が訪れる。
彼が産屋敷家に救われ、鬼殺隊に入り、柱になったのも何かの縁(えにし)。
傍で見守ってあげることだ、できれば歳も近いことだし、仲良くなってほしいと私は思うよ」
〈仲良くか―――・・・できるかな?〉
縁壱零式のこともあるので少々複雑な気持ちになる霧香、だが次の瞬間その考えは消える。
「・・・・・」
血の匂いだ、それもあの男に近い鬼の匂い。
懐から呪符を取り出すと障子に向かって放る、呪符は水の針になり障子を破り抜いた。
「!」
「・・・・・」
突然の霧香の行動に呆然としている二人。
「それで隠れているつもりか・・・」
彼女の言葉が少し強くなる。
すると障子が静かに開いたかと思うと頭の大きい年老いた鬼が『ぬらり』と怯えた声を出しながら入ってきた。
「・・・・・」
「「っ・・・!!」」
無理もない、衝撃的だったのはその気配のとぼけ方の巧さだ。
嗅覚の優れた炭治郎は元より、柱の無一郎でさえ目視するまで『鬼』とは認識できなかったのだ。
裏返っているのか目には数字の確認ができない、しかし目の前にいるコイツは間違いなく上弦の鬼。
―― 霞の呼吸・肆ノ型 移流斬り(いりゅうぎり) ――
戦闘態勢に入った無一郎が斬りかかった、しかし鬼は避けて天井に貼り付いた。
〈速い・・・仕留められなかった〉
「やめてくれえ・・・いぢめないでくれぇ」
鬼は顔を抑えている、おそらく先ほどの霧香の呪符の針を受けたのだろう。
〈気後れするな!!大勢の人を殺している鬼だ!!そうでなきゃ柱の攻撃を避けられない〉
炭治郎も刀を抜く、森の中で鋼鐡塚に刀を預ける際に仮の刀を渡されていたのだ。最初こそ任務ではなかったとはいえありがたかった、彼には感謝しかない。
―― ヒノカミ神楽・陽華突(ようかとつ) ――
炭治郎の突きが天井の鬼を貫こうとするが鬼はそれも躱して畳に着地する。
「ヒイイィィ!!やめてくれぇ!!やめてくれえぇい!!」
「・・・・・」
「いぢめないでくれぇ、頼むぅっ」
這いずる鬼を冷ややかに見ている霧香。
「堕姫も妓夫太郎もそうだったが・・・」
スラリと刀を抜く。
「何故、自分たちを『被害者』みたいに言うんだ・・・虫唾がはしる」
―― 雪の呼吸・漆ノ型 星氷柱(ほしつらら) ――
霧香の連続突きが鬼に迫る、避けても避けても霧香の突きは正確に鬼を攻撃し続ける。
「ヒイイイ!!」
「!」
そして何度目かの攻撃を避けた時、鬼の腹を禰豆子が蹴り飛ばした。
「ギャアアッ!」
鬼は転げて壁に激突した。