第54話 臆病鬼
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「確かに私たちにもここに来た目的はありますが、生憎今は待つしかないんですよ」
なにせ自分たちの刀は各々の担当鍛冶師が研いでいる最中なのだ、素人が口を出していいことではない。
「そうそう!それに人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなっているものだし」
「『情けは人の為ならず』って言葉もありますから。
人に良いことをすればそれが巡って自分に良い報せをもたらす、人は助け合う生き物ですから」
「そうです!それに俺たちも行こうって話してたからちょうどいいんだよ!」
「・・・・・・」
するとボーッとしていた無一郎が急にハッとした。
「何?今何て言ったの?今、今・・・」
「?」
急に食い気味に聞いてきたので少し困惑している霧香。
「ねえ、今なんて言ったの?」
「へっ?ちょうどいいよって・・・イデッ!!」
そこで禰豆子が起き上がった、それで丁度頭が炭治郎の顎に当たったようだ。
「禰豆子!!起きたかー!」
「ムウ!ムウ!」
ムキッムキッと充電満タンと動く禰豆子。
「禰豆子ちゃん、急に起き上がったら駄目でしょうが」
「ムウ!」
「・・・・・・」
無一郎が静かになったので見てみるといつものぼんやりとした表情に戻っている。
〈何だったんだろう・・・?〉
「・・・・その子」
「え?」
「何かすごく変な生き物だな」
「変!?」
じーっと禰豆子を見て放った言葉に若干ショックな霧香。
「えっ?変ですか?」
実の兄の炭治郎も少なからず落ち込んでいる。
「うん、すごく変だよ・・・何だろう、うまく言えないけど」
またじーっと見てくる。
「僕は前にもその子と会ってる?前もそうだったのかな?何だろう」
そこで霧香はあることを思い出した、それは柱合会議の夜に晴哉から聞いたことだ。
「柱の方々はどうだった?」
「皆様、風格のある方々だった・・・でも少し我が強いというか、配慮に欠ける」
「風柱殿か?」
「うん、あと蛇柱様や音柱様も・・・鬼を憎む気持ちはわかる、でもそこは上に立つ者として見極めて欲しい」
「そうか・・・だが、あちらは私たちのように鬼と交流があったわけではない。
そこを押し付けてはいけないよ、私たちには私たちの産屋敷家には産屋敷家のやり方があるのだからね」
「うん、わかってる」
そこでふとある人物を思い出した。
「そういえば、一人不思議な柱がいた」
「ん?誰だい?」
「ほら、最年少の柱だって兄さんたちが話してた人」
「ああ、時透殿だね」
鬼殺隊最年少の柱を思い浮かべる晴哉、彼が柱になったのはここ一年前後だろうか・・・なにせ刀を持って二月で上り詰めたのだ。
「あの方はね、少し繊細なんだ」
「え?」
裁判の様子から見て『全くもって情け容赦ない』というイメージがついてしまっている霧香。
「私も深くはきいていないがあの方は一種の記憶障害を持っているんだよ」
「記憶障害?」
「過去の記憶がないそうなんだ、自分の生まれた場所も家族も・・・覚えていないそうなんだ」
その言葉に衝撃を受けた霧香。
自分の生まれを知らないなんて・・・親や身内のことがわからないのは不安ではないのだろうか?
しかし今(大正時代)は孤児も珍しくはないが育ての親や何かしら己の出生を知ることができる手段はあるはずだ。
しかし無一郎は十一歳で死ぬほどの傷を負っているところを産屋敷家に助けられ、そこから刀を手にし、剣士になったのだという。
目が覚めた時にはもうあのようにぼんやりとした表情をしていたのだと、ならばそれほどまでに彼を追いつめたきっかけがあるはずだ、でもそれは知るすべがない。
彼自身も思い出すことが困難なのだ。