霧香もその後自分の泊まる部屋に戻ったのだが数刻後、いきなり障子が開けられた。

「！」

「ねえ、鉄穴森っていう刀鍛冶知らない？」

「時透様・・・」

現れたのは自分が頭部の怪我を負う原因を作った人物、時透無一郎だった。

「夜分に何ですか？せめて外から声を・・・」

「知ってるの？知らないの？」


〈人の話を聞かない人だな、この人は・・・（怒）〉


文句を言っている間にもズンズンと部屋の中に入ってくる。

「知っていますよ」

「居場所教えて」

「何故です？」

「僕の新しい刀鍛冶だから」

そこで納得がいった、自分の刀を受け取りたいのだと・・・。

「わかりました、でもお連れする前に寄りたい場所があります」



無一郎を連れてやってきたのは炭治郎と禰豆子の部屋。


「「プピー・・・」」

〈熟睡してる・・・〉


まあ、時間が時間なので無理もないのだが・・・・。


「・・・・・」


ぶぎゅっ


「！？」


無一郎が問答無用で炭治郎の鼻をつまんだ。


「ねえ、起きなよ」

「わあ！？時透くん！今、俺の鼻つまんだ？」

息がしづらかったためガバッと起き上がった炭治郎。

「つまんだ、反応が鈍すぎると思う」

「いやいや！敵意があれば気づきますよ、そんな」

「まあ・・・敵意を持って鼻はつままないけど」

「・・・・・・」


二人のやり取りに苦笑をしている霧香、そんな彼女に気付いた炭治郎。

「霧香さんもいる・・・？どうしたんですか？」

「炭治郎、悪いけど付き合ってもらえないかな？」

「え？どこにです？」

「鉄穴森さんを捜すの、鋼鐵塚さんと笙さんといると思うけど・・・私たち彼らがどこで作業しているかの場所は知らないじゃない？だから早めの様子見ってことで見つけるの手伝って欲しいんだ」

「え？でも何で・・・」

「時透様の新しい担当が鉄穴森さんなんだって」

「ああ、なるほど！」

そこでようやく合点がいった炭治郎。

「わかりました！すぐに支度します！」

「ごめんね、よろしく」

「・・・・・」

二人のやり取りを見ていた無一郎はキョトンとしている。

「・・・・なんでそんなに人に構うの？」

「「？」」

「君たちには君たちのやるべきことがあるんじゃないの？」

無一郎は純粋に聞いている、彼は人に興味がない。自分のことは自分でする性分だ、だから何故二人が自分のためにここまでしてくれるのかわからなかった。