第53話 古(いにしえ)の刀
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「しかし一つ問題があった」
「問題?」
「ああ、俺はお前と琴乃、アカリ・・・華陽隊全員の担当鍛冶師をしていることは知ってるな?」
「はい」
「そして自分が作る武器に黒鉄家で所有している鉱山の特殊な金剛石を混ぜて作っている、日輪刀を作る時に必要な『猩々緋砂鉄』と『猩々緋鉱石』は間に合ったんだが、金剛石だけは琴乃とアカリの分の刀を作る際に使いきっちまったんだ。そこでこいつだ」
笙は鋼鐵塚が腰に下げている刀を取り上げた。
「鋼鐵塚さん、刀なんて持ってたんだ。全然気が付かなかった・・・」
あまりにも筋肉隆々で現れたため迫力に負けて気づかなかった炭治郎+二人。
「随分古い作りですね」
「ああ、これは刀鍛冶の里で権現門黒鉄家の鍛冶師が宿泊する場所にある蔵の中から発見された。
といっても開けることができるのはじじいと俺を含めて一族でも認められた鍛冶職人だけだ。そこに俺の鍛造してきた昔の作品が置いてあるからそいつを溶かして作ろうと考えたんだが、そこで見つけたのがこれだ」
霧香へ渡すとあるところを指す。
「柄の部分、良く見てみな」
「?」
汚れや錆ている柄の部分をよく見てみると・・・。
「これ・・・雪華紋?」
そう、柄の頭や猿手、貫目の部分に霧香の羽織と同じ柄の雪華紋の装飾があったのだ。
「それから鎺(はばき)の部分を見てみろ」
鎺とは刀身と鍔の間で、鞘から刀を抜くと見える部分である。
「観世水の印・・・」
そう、海野家の羽織の模様が彫られていたのだ。
「発見したのは偶然だが俺も驚いた、すぐに海野家とも文を送って遣いを寄こしてくれるように頼んだ。そこから大騒ぎだ。
雲雀童子を伴った晴哉に来てもらって物を確認して刀は錆びてはいるものの鉄が良質だということでこいつを研ぎ直して霧香の新しい刀にしようと話がまとまった」
なるほど、華陽隊の自分以外の刀を作って尚且つそのようなことになっていたならば遅れていてもおかしくない。
しかし少しひっかかるところもあった。
「あの・・・この刀が私の新しい刀になるんですか?」
「ああ、確かに古いがここまで原形をとどめている。昔の刀を侮っちゃいけねーよ、この刀はまだ生きてる!これから俺が元の状態まで磨き上げてやる!」
『日数はもらうがな~』とニカッ笑う笙。
「そんで、いざその作業にかかろうとしたらこの阿呆が・・・(怒)」
鋼鐵塚を睨みつける笙。
「勝手に俺の作業場に忍び込んで脱兎のごとく奪い去って行ったんだ」
「・・・・・」
「おかげでこっちはこいつを探すために一週間も無駄な日数を費やしちまった・・・」
仁王像のように表情が険しくなっている笙に対し、ようやく復活した鋼鐵塚。
「その刀は今まで見たことがないほど良質な刀だ、そいつ(炭治郎の刀)と一緒に俺が研ぎ直してやる。
鋼鐵塚家に伝わる日輪刀研磨術で見事磨き上げてしんぜよう」
「だーから!!霧香の担当は俺なんだよっ!これは俺が磨くの!!」
「七日七晩あれば磨き上げる事ができる」
「お前は炭治郎の担当だろうが!!それに里の担当でもお前は関係ないの!鉄珍様預かりなんだよ!!」
霧香の刀を奪おうとする鋼鐵塚とそれを阻止しようとする笙、体格良い男たちの掴み合いになってしまった。
〈鋼鐵塚さんが見つかったのは良かったとして・・・今後がとても不安なんだけど〉
一難去ってまた一難である、刀を握り締めながら本日一番深いため息をついた霧香だった。
続く