第52話 数百年前の剣士
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「小鉄くん、この人形はどうしてこんな風に作られたの?」
「僕も父から聞いたことしかわかりませんが・・・この縁壱零式の原型になったのは戦国時代に実在した剣士らしいです。
とても剣士の技の領域を逸していて腕が六本なければ動きが再現できなかったそうです」
「戦国時代・・・始まりの呼吸の剣士たちのときかしら?私たちのご先祖様もその時代に知り合っているだろうから」
「なるほど!もしかしたら記憶の遺伝かもしれませんね!」
「記憶の遺伝?」
「はい!俺の里では良く言われていることなんです!
受け継がれているのは姿形だけではない、生き物の記憶は遺伝する。
初めて刀を造る時、同じ場所を見た記憶があったり、経験していないはずの出来事に覚えがあったり、そういうものを『記憶の遺伝』と呼びます。
きっとあなたのご先祖様は縁壱零式の原型となった剣士と仲が良かったんですね!」
小鉄は興奮しているように両手をグッと握り、霧香に伝えた。
「私のご先祖様・・・か」
霧香は涙を拭った。
「ありがとう・・・優しいね、小鉄くんは」
「え?何で俺の名前・・・」
「琴乃から聞いた、遅くなりましたが私は波流門海野家の霧香です、よろしくね」
「はい!こちらこそ、霧香さん!」
霧香が手を差し出すと嬉しそうに取ってブンブン振る小鉄。
〈元気のいい子だな~・・・〉
なんて暢気に考えていたが、弱弱しくも自分を呼ぶ声に引き戻される。
「霧香ざんっ・・・」
「!」
見ればボロボロの炭治郎がヨロヨロとこちらに来ている。
「目が覚めたんですね~~・・・よがっだ~~っ」
半ベソをかいてる炭治郎。
「私が負傷する度に泣くんじゃない、炭治郎」
「だっで~~っ・・・」
「『だって』じゃない、男の子でしょう」
「そうです!あなたは男でしょう、炭治郎さん!あなたはまだまだ基礎が不十分です!そんなんでこの先、鬼殺隊で生き残れると思ってるんですか?
霧香さんに泣きついている暇があるなら自分を鍛えてください!」
「「・・・・・」」
小鉄少年はとても毒舌だった、しかし悪意あるものではない。その証拠に炭治郎は何も言えない。
元々の性分ではあるが父親を亡くしたため、最近では鳴りを潜めていた。
しかし時透襲来により完全に復活した、さらに小鉄少年は分析が得意。しかしその分析力の高さ故に自分の技術力の低さを正確に捉え絶望していた。まだ十歳という未来あるという身であるにも関わらずにだ・・・。
しかし、今は違う。
小鉄少年は執念を燃えている、『打倒・時透』を目指して。
「あの糞ガキには言いませんでしたが絡繰は首の後ろの鍵を回す以外にも動きの型を変えられるんです」
縁壱零式の首の後ろを弄る小鉄。
「皆さんは寄木細工ってご存知ですか?」
「ええ、見た目は可愛らしいけど正しい順番で動かさなければ開けられない細工箱でしょ?
ウチの家系も刀を造る傍ら作っている人がいたわ」
小鉄が懐から箱を取り出す。
「そう、これこれ!」
「ああ、知ってます!妹の花子が持ってました!」
炭治郎が木箱を小鉄から受け取る。
「それ、俺が作ったんですよ!」
「へえ!すごいね!」
「これと同じで縁壱零式の場合、手首と指を回す数によって動作を決められるから刀鍛冶が剣士の弱点をつく動きを組んで戦わせる。
そうでないと本当に意味のある戦闘訓練にはならないんですよ」
そう言ってキリキリと人形の指を回す小鉄。
「拷問の訓練なんか受けてなくてもな、嫌いな奴には死んでも教えねぇよ・・・ヒヒヒヒヒヒ」
「「「・・・・・」」」
炭治郎たちが介入する前に余程、時透に屈辱的な目に遭わされたようだ。
もし技量も備わっていれば殺しかねない気迫である。
怒りの力恐るべし・・・