第52話 数百年前の剣士
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「炭治郎さん!遅いです!!全然ダメッ!」
「そんなこと言われてもっ!腕六本はやっぱりきついって!!」
「そんなことありません!腕は五本です!
あの糞ガキ(時透)に壊されたので、それにあの女性(霧香)との戦闘で動きも鈍くなってるんですよ!」
「・・・・・・」
ポカーンと光景を見ている霧香。
〈これ・・・狭霧山の修行よりも過酷なのでは?〉
それともただ単純に炭治郎と自分の身体能力の違いだろうか・・・とそんなことを考えている。
「これ、どれくらいやってるの?」
「あなたが倒れた日からほぼ毎日よ」
「え・・・」
『それはきついわ』と思ってしまう、自分だってあの人形と昼夜問わずに戦うのは遠慮したい。壊れかけといってもあの威力、速さだ。自分の身体能力が高い方で助かったと思う。
〈いや、これは師匠に感謝だな〉
水の呼吸の鍛錬の際に散々打ちのめし、投げ飛ばしてくれた鱗滝にとても感謝した。
おかげで心身ともに強い子に育ったと思う。
「小鉄く~ん」
琴乃が少年に声をかけた。
「あ!琴乃さん!」
小鉄がこちらに向かって腕がもげるかというくらい手を振ってくる。
「ああっ!」
「!?」
「目が覚めたんですねっ!」
琴乃の傍らにいる霧香を見てさらにブンブン手を振る小鉄。
「よかったです!ホントに!」
「うん、心配かけてごめんね・・・」
「いいえ、俺の方こそっ!俺の絡繰り人形のせいであなたは・・・」
しょんぼりする小鉄の傍に屈んで肩に手を置く。
「この傷は君のせいじゃないよ・・・」
そして縁壱零式を見る。
「私はあの時、この人形を止めようとして触れようとしたんだけど躊躇したんだ・・・」
彼が悲しんでいるように見えたから・・・、その言葉を飲み込む。
「そしたら隙を突かれてこんなになっちゃったわけ、謂わば自業自得だよ。刀も持ってなかったしね」
「でもそれは俺との約束を守ろうとしてくれたんですよね?」
「うん、できるだけ壊さないようにとは思ったよ。この人形は君の大事なものだと思ったから・・・・誰だって、自分の大事にしているものを壊されたら悲しいよ」
小鉄の頭を撫でてから人形に近づく霧香。
「左目・・・破損が広がっちゃったんだね」
腕を下げて微動だにしない人形、霧香は今度こそ顔に触れた。
ああ――・・・その表情、あなたは私を責めてはいないんですね。
ポロポロ・・・
「霧香?」
「・・・・・」
いつの間にか霧香は泣いていた、人形の顔を撫でながら涙がどんどん溢れている。
「ど、どうしたんですか!?ま、まだ傷が痛むんですか!?」
小鉄も慌てている。
「ううん・・・違うんだ、この人形の顔を見ると・・・無性に懐かしくて、苦しくて、嬉しくて、いろいろな感情が溢れて堪らないんだ」
振り向いた霧香は苦しいような、嬉しような何とも言えない顔をしていた。