第51話 霧の中の縁
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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『縁壱さん』
『・・・・』
ある新緑の季節、川の近くに腰をかけていた若侍に若い女性が声をかける。
『――・・・殿』
彼が女性の名を呼んだ、その表情はどことなく柔らかくなっている。
『これを渡しにきました』
女性が取り出したのは一本の組み紐だ。
『この間、巾着の締め紐が切れて困っていると言っていたでしょう?それで・・・もしよければ私に直させてください』
『いいのか?』
『ええ、縁壱さんさえよろしければ・・・』
ニッコリと笑った女性につられるように『縁壱』と呼ばれた若侍もクスリと笑ったような気がした。
『ありがとう』
『いいえ、あなたの宝物を直すお手伝いができるので私も嬉しいんです』
若侍から巾着を預かるとその場を去って行った、その背中を若侍は見えなくなるまで見送っている。
―――――――――――――――
「――さん、霧香さんっ!」
「・・・・・」
自分の名を呼ぶ声に現実に意識を戻すことができた。
「・・・・・」
「霧香さんっ、大丈夫ですか・・・?」
うっすらと目を開けて最初に見えたのは涙でぐしゃぐしゃになった炭治郎と火男の面を付けた少年だった。
「た・・・じ、ろ・・」
「霧香さんっ・・・よかったっ、よかった・・・!」
炭治郎は鼻水を垂らしながら泣いているし、少年もお面の隙間から涙が溢れている。
「頭から血が流れてるからっ・・・もしかしたら死んでるかと思ってっ・・・」
「頭・・・」
動こうとした時、少年が止める。
「駄目です、動いちゃ!今、この人が鴉に里まで人を呼んでくるように言ってましたから、もう少しこのままでいてください!」
止血をするため霧香の頭を手拭でおさえている少年、すると少年がどいたことで壊れた絡繰り人形が視界に入ってくる。
腕を一本失い、顔の破損も先ほどよりも範囲が広がっている。
「・・・・・」
霧香の目から涙が流れた。
「この時代でもあなたは傷ついている・・・」
その言葉がポツリと出ていた。
「霧香さん?」
「・・・・・」
彼女の涙は流れ続けていた。
「坊や・・・」
「はい?」
「ごめんね・・・」
あなたの大切なもの・・・守れなかった・・・。
言えたかどうかはわからない、しかしそこでまた霧香はまた意識を失った。
続く