第51話 霧の中の縁
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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戦闘用絡繰り人形・縁壱零式――
霧香は先ほどから自分の胸の内がざわついていた。
「来るよ」
「・・・!」
無一郎の声に我に返ると縁壱零式は数歩先まで迫って来ていた。
「君、考え事するくらい余裕なの?」
「そんなわけないでしょう!?見えないんですかっ!私の髪とか隊服がところどころ切れてるでしょうが!!あの人形の動き、速いんですよ!辛うじて避けてます!!」
「君もうるさいね」
「というか!今、私は刀持ってないんですよ!?」
「だから?鬼殺隊でしかも五大呪術家の陰陽師なら他に戦い方あるでしょう」
「っ・・・」
可愛くないっ・・・出会った当初のアカリ並みに可愛くないっ!!
言い返したら皮肉も含めてサラリとこちらにも返してくる無一郎に対して上司ではあるもののさすがにイラッと来てしまった。
しかも自分は刀を持っているくせに霧香を助けてくれる気は全くなさそうだ。
「波流門陰陽術・・・『水鏡(みずかがみ)』」
放った五枚の呪符が分身となり、縁壱零式を囲む。
カタカタカタッ・・・・ジャリジャリッ!
身体を回転させて広範囲を攻撃する人形とそれを避けている霧香の呪符分身。
「・・・・・」
霧香は人形の動きを見てあることに気付いた、見たことがあるのだ。縁壱零式の動き、誰かに似ている。
そして分身が頭上と左右からそれぞれ人形を攻撃しようとした時、それがわかった。
渦のような軌道を描いて分身たちを斬りつけたのだ。
「ヒノカミ・・神楽・・・」
そう、遊廓の任務で堕姫と戦っていた時、血鬼術・八重帯斬りに対して炭治郎が放った技に似ていたのだ。
さらに思い出してみれば自分に斬りかかってきた人形の技には炭治郎が今まで使用してきたヒノカミ神楽の型に似た動きが少しあった気がする。
もしかしたらこの人形は炭治郎と何か縁があるのかもしれない、それにあの子供にも無一郎が酷い扱い方をしない様に見張ると約束した。
「波流門陰陽術・『水飛沫(みずひまつ)』」
宙を舞う呪符が水に変化し、渦を巻き、輪の手裏剣となり、人形に襲いかかる。
人形の六振りの刀は霧香の水手裏剣を弾くものの、そのうちの一つが人形の指を切断する。
「フウゥ――・・・」
人形の落とした刀を拾って尽かさず攻撃体勢に入る霧香。
〈ごめんね、坊や――・・・まずはこの人形を止めなければならない〉
カタカタカタッ――・・・ギャキンッ!!
刀が五振りになっても攻撃を辞めずに向かってくる人形、霧香は踏み出す足の指に力を入れる。
「雪の呼吸・捌の型――・・・『乱れ霰(みだれあられ)』」
身体を回転させ、太刀筋を振り切っても次の一撃につなげる連続技で人形の攻撃に対抗する。
五振りから繰り出される斬撃を受け流す、縁壱零式の攻撃を分身を使って見極めていたからだろうか、少しずつだが攻撃が見えてきていた。
『乱れ霰』で上手く受け流し、回避したことで僅かではあるが人形の懐に隙が生じた。
「それっ!」
ガコンッ!
足蹴りを喰らわせると人形は吹っ飛んで木に背中からぶつかる。
ギギギッ・・・
動きが鈍くなっている、元々壊れやすくなっているためもあるだろうが、強い衝撃を受けたことで少し破損したのかもしれない。