第46話 半妖
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「そんなに昔から『種』という一団は存在したのか?」
「ああ、特に焔家と海野家は『技』に秀でた家だ。他の三家のように『物を作る』力でやっていけるのならば『種』は存在しなかったかもしれん。
『使えない者』、即ち『鬼を狩れぬ者』は不要。影の者であるならば尚更・・・帝と宗家の者達の風当たりは強かった。そのため二家が考え、進言して作られたのが『種』という逃げ(生きる)道だ。これまで多くの一族を帝や宗家の理不尽によって処断された分家(呪術家)としてできうる限りの抵抗だった。
技や力が発揮できずとも『種(別の道)』で人生を歩ませてやりたいという願いからだった。
一族を減らすことなく、できるだけ生き残らせる。そして『悪鬼を滅殺する』こと、それを支えに分家は産屋敷家と出会うまで一族を繋げてきた。
産屋敷家との繋がりは意外なところからでな、あちらから声をかけてきた」
平安時代後期に差し掛かったころ(1150年頃)、産屋敷家当主と名乗る貴族が妻と赤ん坊を連れて五家が集う御堂にやってきた。
最初は警戒した五家だが産屋敷家当主は帝に近づきつつも、鴉を使い五大呪術家のことを内密に調べさせ、ここまでたどり着いたのだという。
突然の訪問の非礼を詫びた後、産屋敷家当主は五家の長に頭を再度下げて頼んできた。
『私たちがそなたたちのことを調べ、ここに赴いた理由を話させてほしい』
五家の長はそれを受け入れた、当主の表情から並々ならぬ事情があると察することが出来たからである。
当主は妻の抱いている自分の赤子を見せた。
『この赤子は私の嫡男だ、しかし長くは生きられない・・・運命なのだ』
五家の長は病か何かだと思い、あまり重要に受け止めていなかったが次の言葉に愕然とした。
『私の一族は呪われている、過去の時代に鬼を生み出したためその報いを子孫の命が削られている』
そして次に妻が言った。
『経緯は分かりませぬが夫の一族の祖先に人間から鬼になった者がおります。
その者の出現により夫の一族の男児は三十を迎える前に亡くなってしまうのです』
『私はその呪いをこのまま子孫たちに課していくのを止めたい、そして呪いの根源となった鬼を倒したいと考えている。
しかし、私たちだけでは力が足りないのだ。どうか力を貸してもらえないだろうか?』
夫婦は揃って頭を下げた。
「三日の猶予を貰った後に出した答えが『是』だった」
「受け入れたのか?」
「ああ、ただし条件を出した。
まずは今の帝からの解放と安部家宗家からの絶縁に対しての協力。
これは正式に『安部』の名前を捨て、各々が自身の家名をつけて世を渡っていくという覚悟の上の五家からの申し述べだ。
それが成されたならば今後、産屋敷家に協力するということになった」
この条件に対して産屋敷家の当主が放った言葉はこうだった。
『その心配ならば無用だ』
詳細を聞くともうすぐ戦乱の世になる故、こちらを気にする余裕などないそうだ。
そして宗家に関しては宗家の中でも五大呪術家に味方をしてくれていた子孫の協力の得て、五大呪術家に関わる全てのものを焼き捨ててくれたそうだ。
帝の一族もおそらく代替わりとなる、時代が変わればすぐに五大呪術家の存在は闇から闇に消えていくとのこと
「さすが先見の能力、予言はすぐに当たった。今でいうが平家と源氏の戦の序盤が始まった。帝は身内争いで五大呪術家に目が行き届かなくなり、ついに最後は手放すことになった。
安部家宗家も代替わりをして五大呪術家のことは一切、上がることはなくなった。
これで表の世界からは安部家の分家の存在は消えてなくなり、普通の家柄として暮らせるようになったのだ。
そして晴れて産屋敷家との協定が成されることになったが今回の帝や宗家での一件もあり、互いに理不尽無きように取り決めを交わすことにした。
一つに産屋敷家と五大呪術家は対等であり、どちらが『上』に立つということを禁ずる。
二つに五大呪術家は技を伝授する代わりに産屋敷家からも剣士を選出すること。
三つに使役鬼のことは『五大呪術家の宝』とし、一切の干渉はせぬこと。また五大呪術家も使役鬼による被害が出た際は潔く処罰を受けること。
他にもいくつかあるが、主に今述べた三つの約定を大きく取り上げ、双方とも了解を得て、協定を結んだ。
協定が結ばれてより、もうすぐ千年――・・・よくぞ今(大正)まで続いてくれたと思う」
津雲は懐かしさからなのか、それとも苦難を乗り越えてからのものなのか笑みを浮かべていた。
「・・・・・」
「どうした?響凱」
浮かない顔をしていた響凱に津雲は問う。
「いや・・・何でもない、小生の知らぬ一族の歴史を教えてもらえたことに礼を言う」
「そうか、もし続きが聞きたいようなら来るといい。また鍛える合間に話でもしよう」
「ああ、ありがとう・・・」
響凱は話を聞き終えると自分の庵に戻って行った。