第46話 半妖
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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刀鍛冶の里に向かう当日の朝早く霧香は産屋敷邸を訪れた。
お館様こと産屋敷輝哉の妻のあまねに呼び出されたためである。
「海野様、お待ちしておりました。多忙の中、お時間をいただき感謝いたします」
「いいえ、奥方様、お気になさらないでください。その後、お館様のお加減はいかがでしょうか?」
「・・・・・」
あまねは悲しそうな表情をする。
「・・・・夫は病状が悪化し、床を離れられない日々が続いております。先日も吐血し・・・意識を失ったばかりです」
「!」
「本日も本来は夫があなたとお話をするはずでしたが、身を起こすも難しい次第故に私が名代として鎹鴉を使わしました」
「・・・・そうでしたか」
輝哉の病状が芳しくないことは遊廓の任務が始まる前から聞いてはいた、産屋敷家は代々短命だ。
それは呪いがかけられているからである、忌まわしい呪いが・・・。
「では、手短にお話を済ませた方が良いでしょう。さっそくご用件をお聞かせ願いますか?」
「ありがとうございます、海野様。
先日、そちらのご当主から知らせを受けました・・・あなたと黒鉄様に痣が発現したと」
「・・・・・」
霧香の顔をそよ風が優しく撫でる。
「そうですか・・・既にお聞きでしたか」
あまねの言った『痣』とは・・・、産屋敷家と五大呪術家の中では『痣者』と呼ばれる者たちのことだ。
それは、あの鬼舞辻無惨をあと一歩まで追いつめた『始まりの呼吸の剣士たち』の体に発現した模様。
「あなたも一族の中で生きている中、お聞き及びかと思いますが・・・」
「はい、痣者の存在は私たち『五大呪術家の者』であれば知らぬ者はおりません・・・。
『始まりの呼吸の剣士たち』の時代と同時期、我が一族でも一波紋あったようなので・・・特に長兄の使役鬼の津雲、次兄の使役鬼の黒椎と紅虎は当時の事情を知っている数少ない人物です。
好んで語ることはしませんが、忘れることはできないようです」
「そうですか・・・そのような辛いことを聞くのは申し訳ありませんが、海野様が知り得ることで構いません。私に『痣者』の詳しいことをご教授願えませんか?」
「・・・・・」
「『痣者が一人現れると共鳴するように周りの者達にも痣が現れる』
我が産屋敷家に残されている書記にも記されていました、あなたと黒鉄様に痣が発現したのであれば近い未来、他にも痣者が出てくる可能性があります」
「・・・・そうですね」
そう、自分たちは発現してしまったのだ・・・痣を・・・。
「あまね様、痣のことをお話する前にもう一つお尋ねします」
「何でしょう?」
「兄から『妖化』のことはお聞きでしょうか?」
「はい、痣のことと一緒にお聞きしました」
「ありがとうございます・・・でしたら、痣の発現条件について推測ではありますが思い当たることをお話しいたします。
まずは心拍数値の上昇、体温が異常上昇しているということです」
「心拍数の上昇と体温の異常上昇・・・」
「はい、残念ながら数値までは明確に申し上げられませんが主にこの二つが『痣』の発現の要因になったのではと思います。
しかしこれは私たち華陽隊が『妖化』をしていたため陥った身体状況です。
今後、痣を発現した者が出てきたとしても私たちと同じ条件とは限りません。
私たち五大呪術家の人間は元々は『人間と妖怪の間に生を受けた者』、純潔の人間ではありません。
黒鉄家の『剛力』や海野家の『先見(さきみ)』、焔家の『俊足』など妖怪の血の名残りなどがあります。私の述べた条件が今後の鬼殺隊の力になるのかは断言できません」
「そうですか、しかし確かめる術はあります」
あまねの言葉に疑問符が浮かぶ。
「『確かめる』というのはどういうことでしょう?」
「実は今回の上弦の陸との戦いであなた方以外で痣を発現させた方がいるのです、その方は五大呪術家ではありません」
それは初耳だ、霧香自身も痣の発現は『自分と琴乃だけ』としか聞いていない。
「誰ですか?その方は・・・」
「あなたの良く知る人物ですよ」
五大呪術家の出身ではないのならアカリは除外される、だが、そうなるとあの場にいたのは限られる。
天元ならば柱なのだからすぐに報せが来たはずだ、しかし何も聞いていない。
それにあまねの言い方から察するに霧香のもっとも近しい人物だ。
「まさか・・・」
嫌な予感がよぎった。
「竈門炭治郎様です」
〈ああ――・・・〉
どうして――・・・
何故、運命とは過去との因縁が強く、且つ大切なものを奪っていくのか・・・・。