第45話 御守り
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「そういえば日輪刀の修復は終わったのか?」
「いいえ、まだ連絡が来ないんです。
私が目覚めてからすぐに牡丹に刀鍛冶の里へ遣いに行ってもらったんですけど・・・おかしいな、そろそろひと月になるのに」
霧香の刀を鍛えているのは里長である、彼女の刀は他の鬼殺隊士と違い、別段特殊なものではないのだが五大呪術家からの隊士ということもあり、刀鍛冶の里の里長と権現門黒鉄家の鍛冶師の協力の元に造られている。そのため『里長預かり』という形になっているのだ。
「黒鉄家の鍛冶師が関わっているとはいえ、こんんなに日数がかかるのは今までなかったんですが・・・」
「そうなのか?」
「はい。五大呪術家の鬼殺隊士の日輪刀を鍛造する場合、黒鉄家でその隊士担当の鍛冶師が刀鍛冶の里に泊まり込みで派遣されます。
刀鍛冶の里の担当鍛冶師と協力して鍛造し、念入りに確認するためです」
「『命に尽くす刃を造るため』か?」
「はい、刀鍛冶の里の鍛冶職人の方たちに負けず劣らず、物作りに情熱を注いでいる黒鉄家ですから。
でも本当にどうしたんだろう?前は十五日ほどで仕上がったと報せが来たのに」
霧香が日輪刀を打ち直したのは一度だけ、杏寿郎と一緒に赴いた無限列車の任務後だけだ。
あの時、上弦の参である猗窩座に刀身を噛み折られてしまったのだ。その後は多少の刃こぼれはしていたが、それは黒鉄家の担当鍛冶師に頼んで研ぎ直してもらっていた。
しかし今回の遊廓での任務では折られはしなかったもののやはり上弦の鬼との戦闘、刀の痛み具合はひどかった。尚且つ今回は鍔や柄にも若干のヒビなどの損傷があったため担当鍛冶師と相談した結果、打ち直しをすることになった。
「ふむ、本当にどうしたものか」
「はい、う~ん・・・」
二人が考え込んでいると―――・・・
『カアァ――!杏寿郎様ッ!!』
「ん?」
要が飛んできた。
『オ館様ヨリ指令!管轄地域ニテ鬼ノ情報アリ!現地ニ向カッテホシイトノコト!』
「よもやよもやか・・・」
『迂闊に任務の話をするものではないな』と思った杏寿郎、さっそく指令が来てしまった。
『カアァ―!カアァ―!』
見上げるともう一羽、鴉が向かってくる。
近付いてくるにつれて首に白いリボンをしているのが見えて自分の鎹鴉の牡丹であることに気付いた。
「牡丹、どうしたの?」
『刀鍛冶ノ里長様カラの言伝ヲ預カッテ来マシタ!』
刀鍛冶の里の報せ、つまり自分の日輪刀のことについてだ。
「できたの?」
『ソレガ・・・・里長様ハ霧香様ニ『一度里マデ来テホシイ』ト仰ッテイマシタ』
「え?届けてくれるんじゃなくて?」
『ハイ、詳細ハ話シテイタダケマセンデシタガ・・・何ヤラ里ノ方デ事件ガアッタヨウデ』
「ええ?」
『事件』とは何やら穏やかではない、これは早急に向かわねばならないだろう。
「穏やかではないな」
杏寿郎も牡丹の様子で察したようだ。
「霧香、すぐに行くと良い」
「はい」
『アッ!ソレカラモウ一ツ!竈門炭治郎モ共ニ連レテキテホシイト仰ッテイマシタ!』
「炭治郎も?」
これはこれは―――・・・炭治郎とはよくよく縁があるものだ。
すると杏寿郎は立ち上がって自分の文机の引き出しから包みを二つ取り出した。
「今回も竈門少年と任務に就くようだな」
「そのようです」
「では、これを彼に渡してくれ」
包みのうちの一つを渡してくる杏寿郎、霧香が包みを開いてみるとそれは鍔だった。
「これは――・・・」
それは杏寿郎が使っていた炎を象ったあの鍔だった。
「うむ、最近変えたのだ――・・・それで以前まで使っていたその鍔を竈門少年に使って欲しいと思ってな!
彼は強くなる、これからもっと強く!俺はあの少年も鬼の妹も認め、応援したいと思う!少年の願いが叶うように、今後の戦いで死なずにいて欲しい、そのせめてもの厄除けとしてこれを贈りたいと思ったのだ」
そして再び立ち上がり、日輪刀を持ってくる。
「今の俺の刀の鍔はこれだ」
見せてくれた杏寿郎の刀の鍔は八角の形で中に炎、四隅に雪が彫りこまれている。
「『雪炎(ゆきほむら)』」
「え?」
「炎と雪は相反すものかもしれないが――・・・。
『遠くの山に積もった雪が風に舞って山の周囲が真っ白に煙っている』、『陽光に照らされて炎のように見える』、自然現象とは面白いな、ある日の富士山の様子を見て、雪と陽光が織りなせる美しいものだと思った。
どちらが欠けてもあれはできない、俺も君が欠けてはどうにかなりそうだ。
だから君をいつもそばに感じていたくて鍛冶師にこの鍔を造ってもらった」
それからもう一つの包みを渡す。