第45話 御守り
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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とても良い日和のある日、霧香は杏寿郎と一緒に彼の部屋にいた。
「はい、終わりましたよ」
耳かき棒を懐紙で拭き取ると杏寿郎に声をかけた霧香、しかし杏寿郎は動く気配がない。
「杏寿郎さん?」
「まだ動きたくない・・・」
「・・・・・」
後ろ向きなので表情が見えないがホクホクした笑顔でいることだろう。
「・・・・・」
実際、霧香の膝の上で満面な笑顔の杏寿郎。
しかも・・・・
〈後ろ向きだけどわかる・・・頭から花が飛んでる〉
嬉しい気持ちが隠し切れないためか杏寿郎の頭からポンポンと花が飛んでいるように見える。
「杏寿郎さん、そろそろ起きませんか?」
「嫌だ」
「足が痛いんですけど・・・」
「!」
ずっと正座をしているのだから無理もない、もう足の指の先がジンジンしている。
それでもまだ杏寿郎は動こうとしない、いや動きたいが『膝枕はしてほしい』という気持ちが捨てきれないのだろう。
「足を組み替えたら、また膝に頭を乗せても良いですから」
「うむ!承知した!」
『ガバッ』という音が聞こえそうなくらいの速さで起き上がった杏寿郎。
〈早いな・・・〉
霧香は重ねていた足の位置を変えるとポンポンと膝を叩く。
杏寿郎は嬉しそうな顔をして頭を乗せてくる、今度は霧香の方に顔を向けて・・・。
「今日はよくくっつきますね、どうしたんですか?」
「最近は小さな任務が入って君とこうしていられなかったからな」
〈あ~・・・〉
確かに炭治郎が目覚める前や婚約の挨拶をする前から杏寿郎に小さな任務が何回か来ていた。
柱ともなれば忙しいのは仕方がない、不死川や伊黒も言っていたように若手の隊員たちが死に過ぎていて、その分が柱に回されるのだ。
炭治郎たち『かまぼこ隊』や霧香たち『華陽隊』のように実力を付けてきている若手もいるのだが負傷して戻ってきた後、回復するまでに時間がかかる。
そこはやはり、呼吸を極めている柱と若手の違いなのだろう。
「またいつ任務が入るとも限らない・・・柱の仕事も大切だが、俺は君との時間も大切にしたい」
「・・・・・・」
ギュウッと腰に手を回しながらくっついてくる杏寿郎。
〈何だろう・・・〉
霧香は恥ずかしいのと笑いを堪えるのに必死である。
〈体格良いし、誰よりも男らしい人なのに・・・時折、可愛いと思えてしまうのは何でだろうか!〉
そう、杏寿郎は一言でいえば『甘え上手』なのだ。もちろん誰でもではない、霧香の前だけだ。
ここ十数日、一緒に過ごして来て、気遣いもしてくれるのだが自然体で甘えてくる。
〈千寿郎くんといい、杏寿郎さんといい・・・煉獄家の男児って『天然』なのかな?
ここまで自然体で甘えて来れるのは凄いと思う〉
自分の兄たちを思い浮かべて比較してみると、やはり杏寿郎のように『甘えてくる』というのは想像がつかない。
『甘えさせてくれる』なら想像ができる、実際兄なので妹の事は甘えさせてくれるだろう。
しかし晴哉や那津蒔は自分の妻にも『甘えさせる』ことはあっても『自分が甘えにいく』ことはない。実際、そういった話も聞かない。
〈お義姉さんたちが言わないだけかな?奥さんの前でしか見せない顔ってやつかな?〉
自分だけが唯一独り占めできることだ、なら家族であっても話したくないし、話したがらないのは分かる気がする。
〈この杏寿郎さんも・・・・私しか知らないんだよね〉
そう思うと徐々に『恥ずかしい』という気持ちが『嬉しい』に変化し、口元が緩んでしまいそうになる。
「そうですね、私もいつ任務が入るかわかりませんし・・・杏寿郎さんとの時間を大切にしないといけませんね」
わしゃわしゃと杏寿郎の髪を撫でる霧香。