第44話 極め尽くす
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ならば完全な妖怪になったわけではないな」
「はい、元々我々の始祖様や初代様から月日が千年も経過していますので妖の血も薄らいでいる影響もあるようです」
「そうか・・・初代様を始め、その数百年の方々はまだ体に残った妖の血の影響が容姿にも出ていたようだが、そこからさらに数百年・・・我らの世代に来た時は見た目も普通の人間と同じになり、寿命も等しくなりつつある。
妖の血も陰陽術に作用すること以外は特に不便はなかったが・・・血筋というものは完全になくなるものではないのだな」
「ええ、それに我らはその妖の血にこれまで幾度も救われてきました」
そう、五大呪術家は『人ならざる者』と言われた妖怪の血を受け継いでいる一族。
本当の『鬼』と呼ばれた者の末裔、無惨のように『人工的になり得た鬼』とは違う純粋な妖力を持つ者達なのだ。
身体能力、戦闘能力、妖力――・・・たとえ半分人間の血が入っていようとも、妖怪の血はそれよりも濃く、強力だ。
今まで鬼を狩る時にその力が大いに発揮されてきた、治癒能力も人間よりも早い。
その力は五大呪術家の者たちの体に長い時間をかけて馴染み、浸透していった。
いつしかどちらが強いということはなくなり、調和し、一つの血脈として大正時代まで継続させてきた。
それは良い事ではあるが変異の遺伝子を生み出したことには変わりはない。それは新たな運命を生んだも同じことだ。
そのため力が出る頻度が落ちようと、時代が何百年経とうともその力が完全に消えることはない。
一度放たれた力は消えることはない――・・・。
「だが、妖の力はできれば表に出すのは避けたい・・・我々は人と等しい存在で在りたいからだ」
「だが、どうする・・・妖化が出てしまった以上、食い止める術はまだ見つかっていないんだぞ?」
「「・・・・」」
晴哉と歌津羅は黙り込んでしまった。
「それに痣者のことも・・・」
「笙、そのことについては後日改めて話をさせてくれ。今はお互いの妹が生き残り、回復することを考えよう」
「・・・・・」
「いいな、痣のことは誰にも言うな。
ここにいる三人と当主だけの秘密にするんだ、時が来れば周囲に話す時がくる。早まるな」
―――――――――――――――
「晴哉は頭のキレるヤツだ、何の考えも無しに『秘密』にしろなんて言わない。
確かに琴乃に痣が出たと聞かされた時、俺は動揺していた。でもさ、じいちゃん――・・・」
「?」
「俺以上に晴哉は動揺していたと思う、それを表には出さずに状況把握をしようとしていた。
あいつは押し潰されそうになるのを必死に回避しようとしてるんだよ、そんなのを見て俺だけ『ワーワー』騒いでいられねぇよ。
俺は信じるよ、晴哉を――・・・、いずれはあいつと同じところに立つ人間だからな。
そう長くない、その時が来たら、しがみつくんじゃない。俺があいつの肩を支えられるくらいにしとかなきゃならないんだ」
「笙・・・」
逞しくなった孫の背中を見て鉄斎は目を細めた。
「かっこつけるのはまだ早いわい、この青二才が」
「じいちゃん、俺だって男だぜ?たまには恰好つけさせてくれよ」
「フン!あと二十年経ってからやれ!そしたら褒めてやるわい!」
「え・・・?じいちゃん、あと二十年生きる気なのか?」
「勝手に老いぼれ扱いするな!馬鹿者!わしはまだ若い!」
「若いって、もう五十は過ぎてんだろうが・・・」
「やかましい!!」
二人の言い合いはその後、酒盛りに代わり、鉄斎の妻に叱られるまで続いた。
体格の良い男たちがコンコンと説教される姿はとても面白かったとか・・・(式神談)
続く