第44話 極め尽くす
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「岩の呼吸は剣士に合った武器を使用して繰り出すものでもいいかもしれんな。
『守り』、『砕く』力だ、お前が長物が手に馴染むならばそれで型の修行をしよう」
篠熊もそう言ってくれている。
「はいっ!お願いします!」
――――――――――――――
「フフ・・・・」
「どうした?」
「いや、少し昔のことをな――・・・。
あいつに初めて俺の作った武器を渡した時の事を思い出していた」
笙の言葉に納得がいった悲鳴嶼。
「彼女の日輪刀はお前が担当しているそうだな」
「ああ、大切な妹の命を守る刀だ。
刀鍛冶の里の者にも協力してもらってはいるが全工程に俺が立ち会うことにしている」
「私の日輪刀の鎖分銅と手斧の時も時間があれば見てくれているそうだな」
「ああ、大事な親友を守る武器だからな」
「お前が鍛冶師たちと共に極めてくれた武器、ありがたく日々使わせてもらっているぞ。
今日に至るまで私が生きて居られているのもそのおかげだと思っている」
「・・・・そう思ってくれるのなら、何よりだな」
笙は自分たちにしてみれば、まさに『縁の下の力持ち』だろう。
本人が『剣士としての才能がない』、『こんなことしかできない』と言っていても悲鳴嶼たちからすれば、数年をかけて『一つのことを極め続けたこと』は大変な才能だ。
「笙」
「何だ?」
「これからも俺たちの命を守ってくれ」
「フッ・・・無論だ、お前たちの命に尽くし、守る刃を鍛えるのが俺の役目だ」
―――――――――――――――
その、しばらく後に悲鳴嶼は帰って行った。
「笙よ」
「ん?ああ、じいちゃん――・・・じゃなかった、当主」
「二人の時くらいは『じいちゃん』で良いわ」
笙に声をかけてきたのは黒鉄家の現当主の鉄斎だ。
「悲鳴嶼殿か?」
「ああ、久しぶりに会いに来てくれた。琴乃が世話になったから俺も礼が言いたかったし、いい機会だった」
「そうか」
そこまで言うと鉄斎の表情が少し曇る。
「言わなかったのか?」
「何を?」
「琴乃の体に浮き出たアレのことだ」
「ああ―――・・・」
笙は先日、面会に行ったときの香炉家の歌津羅の話を思い出す。
そこには霧香の兄で海野家現当主の晴哉もいた。
「単刀直入にお話します。
霧香さんと琴乃さんに痣が発現しています」
「「っ!」」
痣・・・それは始まりの呼吸の剣士の時代に鬼狩りの一部の者に発言したもので、身体能力、戦闘能力が飛躍的に上昇する。
しかし何故か痣を発現させた者達は二十五歳を迎えるまでに皆、死亡している。
言葉が出ない笙の代わりに晴哉が聞いていく。
「確かなのか?」
「はい、霧香さんは赤い雪模様、琴乃さんは橙色の結晶模様なものが現れています」
始まりの呼吸の剣士の時代――・・・戦国時代以降、その痣を発現させた者はおらずに今日まで至ったわけだが、まさか自分の一族、さらに妹にそれが出るとは思わなかった。
「宇随殿には発現していないのか?」
「今のところ蝶屋敷から音柱様のことは聞いておりません、霧香さんと琴乃さんだけです」
「そうか・・・」
「それからもう一つお知らせしたいことが・・・」
「何だ?」
「今回の任務で華陽隊、全員が妖化(あやかしか)したそうです」
「何だと!?」
そこでようやく笙が声を上げた。
「落ち着け、笙」
詰め寄りそうになるのを抑える晴哉。
「どれくらいの度合いだ?肌の色や髪の色、容姿の変化は?」
「報告によると髪や肌に変化はありませんでした、しかし目の色が変わったそうです」
それを聞くとストンと力が抜けた笙、もちろん安心の意味でだ。