第44話 極め尽くす
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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ようやく見つけ出せたのが黒鉄家の鉱石発掘現場で微量に取れる特殊な金剛石を混ぜて武器を造ることだった。
琴乃が岩の呼吸を習得している数年、篠熊から手紙で近況が伝えられた。
彼女はとても岩の呼吸と相性が良く、このままいけば悲鳴嶼以上に技を極めた剣士になるとあった。
笙は正直、嬉しかった。
妹の才能を伸ばすことが出来たこと、そして篠熊の手紙には『彼女は生き生きとしている、笑顔で鍛錬している』とあったからだ。
危険な場所に行かせてしまうことにはなるが篠熊も琴乃の鬼狩りとしての才能を良しとしている。妹が頑張っているのだから自分も頑張らねばと思えるようになったのだ。
剛力ではない自分に簡単に折れてしまうものは琴乃に使わせられない、そして自分には折れなくても自分よりも力が強い者たちに使わせて数日で破損、もしくは破壊されてしまった武器は失敗品だ。
何度も試した、何度も何度も・・・・妹を剣士にしてやりたい、生きて戻って来れるようにしてやりたい。
そんな気持ちで『より硬度な武器』を極め続けた、そして完成したのは琴乃が最終選別に出る三年前だ。
「兄さん!」
「琴乃!」
完成した武器を持参して篠熊の元へやってきた。
「笙、久しぶりだな」
「はい、篠熊師匠もお元気そうで」
「ああ」
数年振りの師弟の再会、互いの様子に安心したのもつかの間、笙は本題に入った。
「師匠、琴乃に型の稽古が付けられると聞きました」
「ああ、そろそろ本格的に教えようと思っている」
「では、俺が鍛えた武器を使ってもらおうと持ってきました」
自分の式神たちに運んでもらった細長い包みを開いた。
「これは――・・・」
「薙刀だ、お前が黒鉄家の鍛錬でよく使っていただろう?」
その薙刀は全て鉄のように光り輝いていた。
「触れてみても良いか?」
「どうぞ」
篠熊が表面を軽く触れた後に持ち上げようとしたが――・・・。
「っ・・・!重いな」
持ちあがらないのだ、それほどにこの薙刀は重いのだ。
「兄さん、これ何で造ったの?」
「金剛石だ」
「こ、金剛石!?」
「ああ、鉄と金剛石を混ぜて造った。今までの武器とは比べ物にないくらいの硬度だ、一応俺よりも力の強い奴らにも使わせて検証済みだ。
使ってみてくれ、お前の手に必ず馴染むはずだ」
「でも、こんな長物を造るほどの金剛石どうやって・・・」
「集めたんだよ、この半年でな」
この特殊な金剛石は微量にしか取れないので刀を造るとなると適量を集めるまで長い時間がかかる。
しかし笙は琴乃のために黒鉄家が所有している鉱山を何か所も周り、半年で集めたのだ。
「お前のために最適な武器を造ってやりたくて少しは無理はしたが・・・この通り、自信のあるものを鍛え上げられることができた。さあ、持ってみてくれ、琴乃」
「うん・・・」
琴乃は薙刀を掴んで持ち上げた。
「あ・・・」
「どうだ?」
琴乃は持ち上げた瞬間『これだ』と感じた、軽すぎず、重過ぎず・・・しっくりくる。
自分より腕力、握力のない者には重いと感じるかもしれないが自分にはとても馴染むのだ。
「ちょっと離れて降ってみろ」
「うん!」
長物なので十分な距離を取り、薙刀を構える。
「すうぅ―――・・・つっ!」
払い、薙ぎ、突く―――・・・全ての動きが武器を通して流れるようにできる。
「・・・・・」
そして最後に―――・・・・
「やあああぁぁ!!」
ゴシャッ!!
大きな岩に向かって頭上から刃を振り下ろす。
岩は見事に両断された、そしてすぐに刃を確認する琴乃。
「問題なさそうだな」
「兄さん・・・」
琴乃は泣いていた、今までの武器はすべて破壊してしまった。
自分が悪い、自分の力が強すぎるために武器が壊れてしまう。
鍛冶場にも入れず、陰陽師の鬼狩りとしても実践を積もうにも積めない役立たず・・・・そうなるのが怖かった。
でも、この刃があればいける。
『お前の生命に尽くす刃を俺が鍛える――、五大呪術家の鬼狩りの技と身に尽くす武器を鍛える事、これが今の俺の夢だ』
兄は約束を守ってくれた、自分のために、己のために。