第44話 極め尽くす
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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悲鳴嶼は権現門黒鉄家を訪ねていた。
「はい?」
門を叩くと使用人の式神が出てきた。
「私は悲鳴嶼行冥という者・・・黒鉄笙殿にお会いしたい」
「岩柱様ですね、お話は聞いております。さあ、お入りください」
式神は悲鳴嶼を中に入れると屋敷を通り過ぎ、奥にある鍛冶場に連れて行く。
「笙様、岩柱様がいらっしゃいました」
「ああ、ありがとう」
刀を見ていた男が顔をあげた。
悲鳴嶼には劣るが肉つきが良く、体格がいい青年。鉢巻の似合う祭り男のような風体のこの刀鍛冶が琴乃の兄の笙である。
権現門黒鉄家の五指に入る名匠で鬼殺隊に所属している五大呪術家出身の剣士たちの日輪刀を打つのを担当している。
「久しいな、笙」
「ああ、お前も元気そうで何よりだ。
おっと・・・もう柱になって長いんだった、もうこんな口を利くのも失礼か?」
「いいや、私にそのように気軽に話してくれるのはお前くらいのものだ。
そのままでいい、変わられては私が落ち着かなくなる」
「そうか・・・なら、昔のままで話させてもらおうか!」
同じ育手の元で修業したもの同士の久々の再会だった。
二人は篠熊蒲生という育手の元で同じ呼吸を学んでいた、しかし自分に呼吸を体得するほどの才能がないことを感じ取った笙は黒鉄家に戻り、本来の生業の『鬼狩りの刀鍛冶』の道に進んだのだ。
「俺がこっち(黒鉄家)に戻って、お前が鬼殺隊に入隊して随分経ったな。
隊士時代だった頃は良く会ったものだが柱になってからは初めてだな」
「そうだな」
二人は式神が持って来てくれた茶を飲みながら昔話に花を咲かせていた。
「そういえば今回の遊廓での任務、琴乃を助けてくれたようだな。礼を言う」
「いいや、琴乃は大切なお前の妹だ。あんなところにいさせられるわけがない。
それに客を取れば身が危うい、大切なものを任務で失わせるわけにもいかぬだろう」
「すまないな・・・俺は『戦いで死なないようにする努力』はできても、任務に直接助太刀することはできない」
湯呑を掴む手が少し強まった。
「わかってはいたことだが・・・やはりつらいな、妹が戦場で力を尽くしているのに」
「そんなことを言うな」
「?」
「少し前に海野霧香という娘の見舞いに行った」
「ああ・・・無限列車の任務で負傷した子だったな」
「うむ、その娘の見舞いの後に琴乃と話す機会があってな。
その時、私は『剣士』というもののに対してお前が悩んでいたこと、『由緒正しいお前』よりも『一介の寺子屋の師範』だった私が鬼殺隊に入った事・・・私がお前に負い目を感じていたことを話した」
「・・・・」
「怒られたよ、蝶屋敷の庭にある大岩を素手で一撃で砕いてな」
「ブッ!!」
笙は思いきり噴き出した。
「アイツ・・・」
笙は普段は穏やかでのほほんとしている妹だが怒ると剛力の力を駆使して怒ることを知っている。
「それから『自分に妬みや恨みなんて感情は一切持ち合わせていない』と私の目を見て言いきってきたよ」
「それはそれは・・・」
「お前にもそんな感情は欠片もないと豪語していた」
「あのバカ・・・///」
湯呑を持っていない方の手で顔を隠す笙。
「兄思いの良い妹ではないか」
「まあ・・・それは違いない///」
「琴乃は感謝していたよ」
「?」
「元々はお前たちの従兄が鉄斎殿の跡目を継ぐはずだったが、早逝してしまったから次の男児であるお前に後継ぎの話がきたのだと。
おそらく内密の知らせだったから私は知る由もなかっただろうが・・・お前にとってはいい機会だったのかもしれぬな」
「そうか、聞いたのか・・・確かに従兄の知らせは黒鉄家から伝書鳩を使って文で知らされた。
俺は『剣士としての才能』が自分の肌に合っていないのだと感じた、呼吸を使えなかったわけではないが鬼と闘うには力不足だと感じた。
下級の鬼ならまだしも下弦、上弦となっていけば尚更・・・俺は足手まといになっているだろう。
だから退くにはちょうどいいと思ったよ、本気でな・・・そしてそこである覚悟が決まった」
「琴乃に呼吸を教えることか?」
「ああ、あいつもまた黒鉄家の・・・特に鬼狩りの実践に向けての鍛錬には非常に伸び悩んでいた。アイツの力が強すぎてどんな固くて強固な武器でも簡単に破壊してしまうからだ。
だったら俺は『あいつが伸び伸びと才能を開花できる』を環境を与えてやりたい、それで思いついたのが鬼殺隊へ入らせることだ。
鬼殺隊なら『剛力』を余すことなく発揮できる、その代わり俺はあいつが最終選別に出る時に生き残れる刃を作れるようになると決めたんだ」
黒鉄家に戻った後、笙は試行錯誤を繰り返した。今まで琴乃に武器を作った刀鍛冶にどんな材料を使ってきたのか、どんな工程で作ってきたのかなど細かく調書して、記録を読みあさった。