間章 ある日の愼寿郎さんと杏寿郎くん
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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~その頃の海野家~
「ハア~・・ハア~・・・」
本日の鍛錬を終えた千寿郎、お風呂に入らせてもらい畳に横になっていた。
「千寿郎くん・・・」
「つっ!?」
ビクッと飛び起きる千寿郎。
「あ、ごめんなさいっ・・・」
振り返るとももが立っていた、手にはおにぎりと漬物を乗せた盆を持っている。
「お腹空いたかなって思って軽食を持ってきたの」
「あ、ありがとう・・・」
海野家へ特訓のため泊まり込みをさせてもらっている間、千寿郎は鍛錬の傍らできる手伝いは進んでしていた。
そんな中、給仕をしているももと同い年ということもあってとても仲良くなった。
ももは鍛錬の途中の休憩や終了した後にお茶や軽食、手拭なんかを持って来てくれたりする。
「はむはむ」
ももの作ってくれたおにぎりをモグモグと食べる千寿郎。
「千寿郎くんって食べ方が杏寿郎さんそっくりだよね」
「え?そうかな?」
「うん、頬張るところとか、そっくりだよ」
「・・・・///」
兄と似てると言われて『嬉しい半分照れ半分』で赤くなる千寿郎。
「ももは・・・兄弟っているの?」
「ううん、私は一人っ子なの・・・『兄弟作ろうか』って両親は言ってくれてたんだけど・・・」
「え!?」
ももが急に無口になったので慌てる千寿郎。
「あ、あの・・・ごめん、僕・・・」
「ううんっ・・・私も立ち直らないとって思うの」
ももは千寿郎に笑みを向けるが目には薄っすら涙が浮かんでいる。
「私、孤児で・・・ここ(海野家)に来る前は人買いのところにいて・・・」
「え?」
ももの過去を知らなかった千寿郎は驚いている。
「両親を鬼に喰われて・・・親戚もいなかったから、売られたの」
「・・・・・」
「でも、私・・・その生活に疲れて逃げ出して、自暴自棄になって、鬼に協力しちゃったの」
「!」
『鬼に協力した』という言葉に反応した千寿郎、ももは歯切れ悪く続けた。
「無限列車のこと・・・杏寿郎さんから聞いてる?」
「う、うん・・・」
千寿郎は無限列車の時に襲撃してきた鬼の事は詳しくはないが聞いていた。
「確か夢を操る鬼と格闘技を扱う鬼と闘ったって・・・・」
「その夢を操る鬼に協力してたの・・・『幸せな夢』を見せてもらう見返りに。
私、あの時・・・たとえ死んでもお父さんとお母さんが生きていた頃の、あの幸せな時間に戻れるなら他人を犠牲にしたっていいって・・・思ってたの」
「・・・・・」
「ごめんね・・・本当にごめんなさい」
話すきっかけは千寿郎の言葉だったとはいえ、ここまで辛いことを話させることになるとは思っていなかった。
でも、彼女はここにいる。きっと兄や炭治郎、霧香と関わって何か変化があったのだろうと続きを促すことにした。
「その鬼に『人間の夢の中に入り込んで精神の核を破壊して来い』って言われて・・・それで入り込んだのが霧香さんの夢だった」
霧香の夢・・・というよりは過去を思い出したもも、彼女の過去の出来事はとても辛いものだったけど、それを乗り越えることができた核・・・滝夜叉姫様とこれまでに海野家を支えてきた使役鬼たちの魂のこと。
「霧香さんこと、本当に強い人だなって思ったんだ、私・・・」
鬼にひどい目に遭わされたけど、それはその時の鬼が悪いのであって『鬼』の全てを否定しているわけではない。
善良な鬼と悪意のある鬼を見極めて接している、種族が違うのにとても強いと思う。
「だからせめて自分のしたことの区切りとしてと思って・・・ここ(海野家)に謝りに来たの。そしたら私の身の上を知った上で笑って許してくれた。
それに私を大金を払って見受けしてくれて・・・衣久様のところにおいてくれたの、私、とても感謝してる!
私に本当の『幸せの時間』をくれたんだもん!夢じゃなくて現実に!」
いつの間にか涙は引っ込んでいて笑顔が溢れるもも。