間章 ある日の愼寿郎さんと杏寿郎くん
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「おはようございます!父上!」
「ああ・・・」
朝、愼寿郎は家族と朝餉を摂るために食卓に腰を下ろす。
ただ、今回はいつもと違う光景があった。
「お待たせしました」
霧香と安岐が御膳を持ってくる。
「すまんな、安岐殿」
「何を言っているんですか、大事な息子さんを我が家で預かっているんですから!私がこちらに来ていい塩梅なんですよ!
それに霧香の花嫁修業にもなりますからね~?」
「お母さんっ・・・///」
いつもは千寿郎が食事の用意をしてくれるのだが、その千寿郎が数日前から海野家の剣術の特訓をしに行っているのだ。
―――――――――――――――
それは数日前のことだった。
「今、何と言った?」
「『千寿郎くんを海野家で預かりたい』と申し上げました」
煉獄家には海野家当主の晴哉、側近の那津蒔が訪問していた。
「何故、千寿郎を?」
煉獄家の当主の愼寿郎はもちろん、兄である杏寿郎、千寿郎本人も同席している。
「その話をする前に先に申し上げておきます、私たちはあなた方の今までしてきたことを否定するつもりはありません」
「「?」」
「愼寿郎殿がご子息たちになされた教育も杏寿郎殿が自身でこれまで努力し、それを千寿郎くんに伝授しようとしていたことも素晴らしいことだと思っています。
その上で言わせていただく、千寿郎くんの鍛錬は一度煉獄家から離れた場所で行った方がいいのではないかと・・・」
「我々の教えが悪いと?」
「いいえ、先ほども言っていたようにあなた方の剣の技術は素晴らしいものです。
煉獄家は『炎の呼吸の指南書』を代々受け継いできたのです、杏寿郎殿もそのおかげでここまで腕を上げられた。
しかし人には『視野』というものがあります、『やり方』も然り、千寿郎くんが剣の腕に伸び悩んでいることはあなた方もご存知のはず」
「「・・・・」」
「千寿郎くんに海野家の戦闘訓練を受けさせてみたいと思います。
千寿郎くんには弟の那津蒔が事前に話をしています。
もちろん、千寿郎くんに強制はしていません。
『彼が望むならば』と伝えた上で話をしています。
これまでのやり方に誇りを持っているあなた方に『他流』の鍛錬を受け入れるのは難しいかもしれませんが・・・・考えてみていただけないでしょうか?」
愼寿郎も杏寿郎も千寿郎が鍛錬で悩んでいたこと、自分たちよりも内気であるため自己発信が苦手なことは感じていた、しかし観察力は人一倍敏感であること。
だから頭ごなしに遮ることや道を失くす言葉を放つことはしなかった。
「千寿郎」
「はい・・・!」
「お前はどう思っているんだ?」
愼寿郎は杏寿郎の隣りでこちらの顔色を窺いながら話を聞いている千寿郎に声をかける。
今までのように怒鳴っては千寿郎の心を抑えつけてしまう、かといって海野家の申し出を勝手に了承するわけにもいかない。
大事なのは本人に意志である。
「私は・・・」
下を向いたまま拳を握り締めている千寿郎、だがすぐに顔を上げて愼寿郎をまっすぐ見据えた。
「私は海野家で特訓を受けたいと思っています」
「本気なのか?」
「はい!」
愼寿郎は少し厳しい表情になる。
「お前は何故そこまで力をつけたい?大した才能も本当にないかもしれんぞ」
「!」
愼寿郎は言わなくなった言葉を敢えて使った、ここで言い返さないようでは鬼殺隊を辞めさせる気でいたからだ。
杏寿郎もここしばらくで落ち着いていた父の口からあの言葉が発せられたので驚きを隠せない。
「父上っ・・・」
「何だ?」
「わ、私は・・・」
「・・・・・」
「私は・・・っ、自分の才能は、自分で見極めます!本当に自分が剣士に足る者か否かを!
もし・・・それが『無理』だと判断したら私は鬼殺隊を辞めます!」
「!」
千寿郎は震える声を振り絞って言い切った。
「・・・・そこまで覚悟があるのだな?」
「はいっ」
〈千寿郎・・・〉
弟がしっかり父の顔を見て自分の言葉を発している。
いつも怯えて陰から見ていることの多かったあの弟が・・・、杏寿郎は千寿郎の一面に驚いている。