間章 ある日の千寿郎くん
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「千寿郎ー!遅くなってんぞ!気張れ!!」
「はいっ!!」
こんにちは、みなさん。
僕は煉獄千寿郎、炎の呼吸を代々守ってきた煉獄家の次男です。
僕は今、海野家の那津蒔さんと一緒に海野家所有の山を駆けています。
どうしてこんなことになっているかというと、それは霧香さんと兄上の婚約の御挨拶が終わった二日後のことでした。
―――――――――――――――
「よお、千寿郎」
「那津蒔さん!」
門の前の掃除をしている僕は声をかけられたので振り向くと那津蒔さんが立っていました。
僕は那津蒔さんが大好きです、尊敬しています。
兄上のことももちろん尊敬していますが、那津蒔さんはハキハキしているところは兄上と似ているものの、冷静沈着で何事にも動じずに引っ張って行ってくれる背中に憧れています!
「今日はどうされたんですか?父上は今、不在なのですが・・・」
「いいや、今日はお前に話があって来た」
「僕に?」
「ああ、少し時間もらえるか?」
「はい」
僕は屋敷の中に那津蒔さんを招いてお茶を出しました。
「今日はお前と腹を割って話したいと思ってな」
「え?」
「お前、鬼殺隊の隊員ではあるんだよな?」
確かに僕も最終選別を受けて鬼殺隊の中に名を連ねている、でも任務に赴く機会は少ない。
「日輪刀は持っているんだろう?」
「はい、でも・・・」
「『でも』?」
「僕の日輪刀は・・・・色が変わらないんです」
「・・・・そうか」
那津蒔さんはお茶を啜りました。
「僕は兄上のように強くなりたくてずっと鍛錬を続けてきました。
でも・・・日輪刀の色は変わらなかった、その後でも『色が変わるかもしれない』と鍛錬を続けてきました、それでも変わらなかった・・・だから、剣士になることは諦めようと思います」
「何故だ?」
「え?」
そこで思わぬ言葉を那津蒔さんが言ったのです。
僕は何を言われたのかわかりませんでした、僕には父上や兄上のような才能もない、精神力もない。
最終選別だって運よく生き延びられただけだ、鬼を見たあの瞬間は今でも忘れない。
正直怖かった、死ぬのが怖くて夢中だった、気づいたら生き残っていた。
「千寿郎、お前は煉獄家の男としての責務を果たそうと剣士を志した。
今頃は杏寿郎の継子として鍛錬をしているはずだった・・・そうだろう?」
「は、はい・・・」
「お家の代々の役目を果たそうとするのは立派だと思うぜ、俺も知ってるし、やってるからな」
〈一体・・・何が言いたいんだろう?〉
「千寿郎、嫌だと思うが答えてくれ。お前、杏寿郎の才能に嫉妬してるだろう?」
「え・・・」
「『嫉妬』ってのは少し言葉が悪いかな・・・『羨望』というべきか、どうだ?」
「・・・・はい」
「やっぱりな、別に悪い事じゃないぞ、羨ましがるのは。俺も兄貴に嫉妬してた頃あるからな。
それでだ、本題はここからだ。お前、海野家でしばらく剣術の特訓してみないか?」
「え?」
あ、茶菓子を握り潰してしまった・・・・。
「わわわっ!?」
「おい、大丈夫か?」
「あ、はい!大丈夫ですっ、すいませんっ・・・!」
茶菓子の欠片を拾う僕を見て苦笑している那津蒔さん。
「俺はな、お前の『情熱的』なところは剣士になるのに良い力になると思ってるんだよ」
「『情熱的』って・・・僕がですか?」
「ああ、お前、杏寿郎から手ほどき受けてたんだろ?」
「はい」
「杏寿郎も親父さんに教わったことと独自に考えた方法で教えてたんだろうが、ものすごく厳しかっただろう?」
「僕はあまり『厳しい』とは感じませんでした、そういうものだと思ってましたから」
確かに他の人から見れば兄の鍛錬のやり方は厳しかったかもしれない。
でも僕は『兄上のようになりたい』とこなしてきたので苦しくはなかった。
「でも体力作りとか素振りとかやっただろう?万を超える回数」
「はい」
「だろうな」
納得したように笑う那津蒔さん。
「それでも・・・僕は弱いままなんです」
「・・・・・」
今までやってきたことを思い出してしまい、悲しくなった。
あれだけ頑張ったのに、僕はどうして強くなれないんだろうか・・・やっぱり才能がないから、父上や兄上のように立派な剣士にはなれないんだ。
そもそも僕の体は炎の呼吸に適していないのかもしれない・・・。