間章 ご挨拶
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「はい・・・、杏寿郎さんも泣きたかったと思います。
でも瑠火様から『強き者の責務』を説かれたからには『自分まで弱っては父や弟に申し訳がない』という気持ちの方が勝ったんでしょう。
とても強い人です、杏寿郎さんは――・・・それに千寿郎くんも兄の背中を見て、しっかり学んで育ってくれたと思います。
『大した才能もないのに』とあなたは仰っていたようですが、とんでもないです!
自力で炎柱まで昇りつめたこと、幼いながらも屋敷の全てを引き受ける胆力と頭の回転の良さ、とても素晴らしい才能です。
瑠火様もそうですが、あなたの教育の賜物です。あなたがいなければ杏寿郎さんは炎柱にはなっていなかったかもしれません。千寿郎くんも鬼殺隊を怨んでいたかもしれません。
本当に自慢の息子さんたちです、そして杏寿郎さんと出会わせていただいてありがとうございます」
愼寿郎と瑠火がいなければ杏寿郎と千寿郎は生まれてはいない。
そして彼らがいなければ彼らをここまで『強い人間』になることはなかっただろう、そして鬼殺隊に留まっていなければ自分は杏寿郎とは出会えなかった。
霧香は手を付いて頭を下げて礼を述べた、それほど杏寿郎との出会いは自分にとって大きいものだったからだ。
「霧香さん、頭を上げてくれ」
「?」
「礼を言わなければならないのは私の方だ、私が変わることができたのは瀬津寿の説得だがきっかけを作ってくれたのは君だ。
私は危うく息子まで失うところだった、瑠火に顔向けできないことをまた重ねるところだったんだ。
私たちを救ってくれてありがとう、本当にありがとう。
煉獄家は喜んで君を迎えたい、杏寿郎ともどもよろしく頼む」
今度は愼寿郎が頭を下げた。
「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いいたします」
改めて頭を下げた霧香。
―――――――――――――――
「どうだった?」
「二人とも打ち解けたみたいです」
「そうか、なら御の字だ――・・・ほれ、王手」
「むっ!?」
愼寿郎と霧香が話している間、千寿郎とももは料理の盛り付け、杏寿郎と那津蒔は将棋をしていた。
盛り付けが終わりそうな頃にももに一人でやるように告げると千寿郎に部屋の様子を見に行かせた。
「不覚っ・・・!」
「俺の将棋の腕は親父仕込みだからな」
『ニシシッ!』と笑う那津蒔。
「お部屋から出された時はどうされたのかと思いました」
「霧香は対面すんのは初だからな、愼寿郎さんも話したいことが溜まっていただろうし、これ以上長引かせるのも悪いからな」
何度目かの仕切り直しの将棋をさす。
「杏寿郎とも千寿郎とも、ももにもあいつ(霧香)は腹を割って話してきた。だったら結婚してこの先ずっと一緒にいるお前の親父さんとも腹を割って話しをさせてやりたかった。
『過保護』だと思われても構わない、俺は妹にも旦那になる相手にも不幸せにはなってほしくねぇからな」
那津蒔の目は優しかった、どんなに乱暴な言葉遣いをしても、どんな強引な行動を取っても、彼は本質は見失っていない。
『行動に出なければ変わらない、しかし一方通行の思いではなく、自身でも客観的にも筋が通ったもの』であることが不可欠だと・・・。
「那津蒔兄さん、まだかかりそう?時間がかかるなら私も手伝うよ?」
ひょっこりと顔を出す霧香。
「ん?話は終わったのか?」
「うん、ありがとう」
「いや、礼を言われることはしてねぇよ」
駒を置くと盤から顔を上げる那津蒔。
「杏寿郎、勝負は一時お預けだ。飯食った後にしようぜ」
「うむ!承知した!」
「霧香、膳を運ぶの手伝ってくれ」
「わかった。ももちゃん、用意したお膳はどこ?」
「こちらです!」
膳に盛られたおかずを見て『ほわ~ん』となる霧香。
「五色ご飯、炒め物に煮物・・・すごい美味しそう!千寿郎くんが作ったの?」
「はい!霧香さんと兄上が婚約されたので張りきっちゃいました!」
「ありがとう!すっごく嬉しい!!」
「えへへ・・・///」
自分たちのために腕を振るってくれたことに歓喜し『ギュッ!』と抱きしめる霧香と照れくさそうに笑う千寿郎。
霧香と煉獄家との嫁入りを前提としての交流は幸先が良いようである。
続く