第4話 華陽隊
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「隊服、なかなか似合っているじゃないか」
「ありがとう、晴哉兄さん」
鎹鴉・牡丹の『産屋敷家集合』の知らせを受け取った霧香は一度実家に戻った。
師匠である鱗滝の言った通り、屋敷では既に連絡は来ていたようで現当主の晴哉が正装で待っていた。
「お前の師匠から『呼吸の会得は難しいかもしれない』と聞いた時は正直心配だったが、無事に鬼殺隊に入れて良かったな」
「ありがとう、那津蒔兄さん」
晴哉の傍には側近として次兄の那津蒔も座っている。
「お前も知らせは受けたと思うが、これから産屋敷家に挨拶にいく。
我ら五大呪術家と産屋敷家は鎌倉時代から協定し、現在まで良好な関係を保ち続けてきた。
私たちもそれを守っていかなければならない・・・此度は海野家、黒鉄家、焔家から鬼狩りを託すことになる。
協定上、失礼なきようは当たり前だが、私たちは『産屋敷家とは対等な立場であり、どちらかが上に立つという事はない』ということを改めて申し上げに行こうと思う、いいな?」
「はい」
「今回は俺は同席しない、お前と兄さんだけで行くことになってる」
珍しいことに那津蒔は今回の挨拶には出席しないそうだ。
「何人もゾロゾロ連れ歩いたら『敵意がある』と思われるからな、腹を割って話せるところには一家で大人数は必要ないってことだ」
「那津蒔の言う通りだ、護衛を付けすぎるのは『相手を疑っている』という風にも取れる。
産屋敷家とはまだ良好な関係でいたい、そのためにも相手がこちらを疑うようなことはしてはならない」
「というわけで、今日はお前が兄さんの護衛だ。頼んだぜ~!」
そう言われて霧香は晴哉と一緒に送り出された。
――――――――――――――――
海野家を送り出されてから二日目、二人は宿に一泊し、産屋敷家のすぐそばまで来ていた。
晴哉は波流門一族の正装である『観世水』の模様の入った羽織を着ている。
「久しぶりだな・・・」
「え?」
二人で歩いていると晴哉が空を見上げながら話しかけてきた。
「お前とこうして旅行感覚で外に出るのも・・・七年振りになるかな?」
晴哉は懐かしそうにしている。
そういえば長兄と並んで歩くのは、本当に久しぶりだ。
霧香は元々長兄の晴哉が大好きで小さい頃から甘えることが多かった。
霧香、一緒に行こう
うん!お兄ちゃん!
小さい頃は花見や夏祭りも晴哉と手を繋いで歩いたものだ。
「大きくなったな」
頭をポンポン撫でられる。
「もう十七になったんだな、お前は」
「うん」
「私も嫁を貰って親になった・・・十も年が離れているから『兄』というよりは『父』になった気持ちだな」
苦笑している晴哉。
〈兄さん――・・・〉
父は椛が鬼に襲撃された事件の一年後に理由は明かさずに晴哉に当主の座を譲渡した。
今は母と一緒に一線を退き、陰ながら晴哉を支えてくれている。
「おや、晴哉殿――・・・」
「・・・?これは、鉄斎殿――、あなたも今お着きかな?」
「ああ、三年前の新当主の挨拶以来だな、今年、待望の男児が生まれたそうだな」
「ええ、両親の喜びようが大きくて・・・娘たちと一緒に可愛がってくれています。
孫たちの前ではあの厳格な父でも頬が緩むようで・・・」
「それはそうだ、ジジイにとって己の子も孫も可愛いものだ!わしもそうだからな!ハハハハハッ!!」
にこやかな晴哉に対し、豪快に笑う中年の男性。
〈『工字繋ぎ』の羽織・・・もしかして権現門の当主〉
漢字の『工』いう字を斜めに連続的に紡ぐ柄、意味は『長寿』、芯を強く、意志を貫くという心の現れだ。
「霧香!」
「琴乃・・・」
男の後ろからは同じく隊服を着た琴乃が現れる。
「やっぱり黒鉄家の・・・」
「そうよ、こちらは私の祖父、霧香は鱗滝さんに弟子入りして狭霧山にいたから、呪術家の会議にも出る機会少なかったものね、祖父の顔を知らないのも無理はないわ」
「お前が新当主の末の妹か、噂は聞いているぞ」
「・・・・」
自分の噂は良いことが無いと思っていたので思わず顔を伏せてしまう。
「何を落ち込んでいる?」
頭を力強い手で撫でられる。
「お前は水の呼吸から『自分の呼吸』を生み出したんだ、お前は立派だ。
負い目を感じる必要はない、一門の者が何と言おうとお前は『力』のある者だ。自信を持て」
ニカッと笑う鉄斎。
「わしは黒鉄鉄斎、琴乃の祖父だ、これからよろしく頼むぞ」
「あ、はい・・・こちらこそ、よろしくお願いいたします」
頭を下げる霧香。