第41話 戦いの果てに
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうした?どうした?可哀想に」
その時だ、ある鬼に出逢ったのは・・・。
その鬼は瞳に『上弦の陸』とあり、にこやかに自分たちに声をかけてきた。
「その娘、間もなく死ぬだろう・・・俺は優しいから放っておけないぜ」
美しい遊女を喰っているそいつは口元や着物を血で汚しているにも関わらずに優しく美しかった。
「お前らに血をやるよ、二人ともだ。
あの方に選ばれれば『鬼』となることができる、命っていうのは尊いものだ、大切にしなければ」
鬼は手を差し伸べた。
「さあ、お前らは『鬼』となり俺のように十二鬼月・・・上弦へと上がって来れるかな?」
妓夫太郎に迷いはない。
『鬼』になったことを後悔などしない、むしろ生まれ変わっても『鬼』でありたいくらいだ。
幸せそうな他人を許さない、必ず奪って取り立ててやる――・・・
ただ思い残すとすれば『妹』のことだ。
自分は人間だった頃も鬼になった後もたくさん悪いことをしてきた、地獄にも落ちるだろう、今後生まれ変わることも許されないこともあるだろう。
だが、妹は――・・・もし、俺の妹として生まれなければ、もっと違う人生だったのではないだろうか?
もっといい店にいたならもっと真っ当な花魁になっていたかもしれない。
普通の親元に生まれていれば普通の娘として、良家の娘として生まれていたなら上品な娘になっていたかもしれない。
梅は染まりやすい性格の子だ、見るもの聞くもの触るものが違えばもっと幸せになれたはずだ。
梅が丸焦げになる原因を作ってしまったのも自分が教え込んでしまったことかもしれない。
『奪われる前に奪え、取り立てろ』と自分が教えたから・・・もし、あの侍の目を突かずに従順ししていられたのならもっと別の道もあったのかもしれない。
「俺の唯一の心残りはお前だったなあ・・・梅」
「お兄ちゃああん!!」
「!」
振り向くとそこには人間だった頃の姿の堕姫がいた。
「嫌だ、ここ嫌い!どこなの?出たいよ!何とかして!!」
二人がいる場所はどこまでも暗いところだ、光もなく、道もない、とても暗く広いところ・・・。
「・・・・・」
妓夫太郎は歩き始めた。
「そっちが出口?」
堕姫・・・いや、梅が後をついて来ようとする。
「お前はもう俺についてくるんじゃねえ」
「え?」
拒絶の言葉に驚く。
「なっ、何で?何でよ!?待ってよ、アタシ・・・」
「ついて来んじゃねえ!!
「!」
叫び声に体を強張らせる梅。
「お兄ちゃん・・・」
「・・・・・」
「さっきのこと、怒ったの?謝るから許してよ・・・」
「・・・・・」
「お兄ちゃんのこと『醜い』なんて思ってないよォ!!悔しかったの!負けて悔しかったから!!『アタシのせいで負けた』って認めたくなかったの!!」
「・・・・・・」
「ごめんなさい・・・上手く立ち回れなくて、アタシがもっとちゃんと役に立っていたら負けてなかったのに・・・。
いつも足引っ張って、ごめんなさいっ・・・!」
「お前とはもう兄妹でも何でもない、俺はこっちに行くからお前は反対の明るい方に行け」
「つっ!!」
梅は駆けだした。
「嫌だ!」
「!」
「離れない!絶対離れないから!!」
「おいっ」
後ろから自分にしがみ付いてくる梅を振りほどこうとする妓夫太郎。
「『ずっと一緒にいる』んだから!!」
「っ!」
『ずっと一緒いる』という言葉にハッとする妓夫太郎。