第40話 妖の血
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「お前が妹の体内にいた時から妹は何度首を斬られた?取られそうになった?
炭治郎に、宇随様に、私に、アカリに、伊之助くんに・・・ねえ?何度首を刃に取られそうになった?」
「!」
ビキビキッ・・・
クスクスと笑いながら妓夫太郎を見る霧香。
「そもそも・・・妹の方は何故お前を助けようとしない?
『兄貴にぶら下がればいい』とでも思っているのか?それこそ『みっともない』ことだ・・・お前らは鬼なんだろ?『することの限界』がない鬼なのだろう?ならもっと残虐になってみろ、過激になってみろ。
炭治郎はお前の妹よりも余程立派だ、誰のせいにもしない・・・誤りがあった時は自分で悔いる。
禰豆子に『ぶらさがっている』のではない、自分の命を信頼して預けているんだ、お互いにな。
だが、お前ら兄妹はどうだ?
妹は『自尊心の欠片もないただの幼稚な子供』、兄貴は『そんな妹を傷つけられて怒り出すただの単細胞』、お前たちは人間だったころからそうなのか?いいや、人間だった頃はもっと『綺麗』だったはずだ・・・鬼になってどんどん落ちていったんだな、可哀想に」
「うるせえぇ!!」
ブチブチッ!!
苦無の刺さっている両腕を引きちぎる妓夫太郎。
「お前がああ・・・俺たちを否定するんじゃねええ!!俺たちを憐れむんじゃねえ!!」
「・・・・・」
「この虫けら、ボンクラ・・・のろまの腑抜け、役立たず・・・」
「・・・・・」
「そんな弱い弱いボロボロの体で・・・みっともねえ人間の体で!!俺の頸、斬れるもんなら斬ってみろおお!!」
カッと目をかっぴろげて霧香に罵声を浴びせる妓夫太郎。
「『虫けら』」
「?」
「『ボンクラ』、『のろまの腑抜け』、『役立たず』」
「?」
「それは人間だった頃に言われたものか?」
「・・・・!!」
何だ、この女は・・・・挑発にも乗らず、罵っているにも関わらず、何故こうも平然としていられる。
「私には使役鬼がいる」
「!」
「元・十二鬼月の響凱だ」
「響凱だああ?」
妓夫太郎は自分の妹以外の鬼には興味はなかった、だが以前鬼舞辻に数字を剥奪された鬼がいることを聞いた。
そして堕姫の体内にいた時に鬼舞辻が言っていた言葉も・・・。
「お前・・・無惨様の言っていたああ・・・」
こんな十数年しか生きていない小娘に格は違うとはいえ鬼が使役されているのかと思うと怒りが沸々と湧いてくる。
「その鬼が人間だった頃、どんな境遇だったか・・・どんな扱いを受けてきたか、全部ではないけれど私は視る事ができる」
「!」
「お前は鬼に堕ちてでも『妹のことを殺した奴』が許せなかったんだろうな。
私も兄さんや姉さんが殺されればそいつを怨みたくなる」
「なら何でええ・・・俺たちの邪魔をするうう?」
「『人間は強い生き物』だということを知っているから」
「!」
「どんな辛い境遇に陥ろうとも、親族をどんな状況で亡くそうとも・・・心が強い人間は『そこから這い出てくることができる』ことを知っているから」
『人間が強い』とこの女は確かに言った。
「笑わせんなよおお?人間が強いだとおお!!」
いちいち癪に障ることを言う女だ。
「よおおし・・・ならお前を鬼にしてやる、四肢を切り落として、半殺しの状態で鬼にしてやる・・・。
そうすればお前も俺たちのことが分かるはずだ、強靭の肉体・・・老いることも死ぬこともない、そして鬼になったその体で大事な弟とやらを喰い殺すと良い!!」
「そうなれば私は迷いもせずに死んでやる」
〈何だとおお・・・?〉
「私が人を喰うことはない。
私が炭治郎やみんなを喰う前に鬼殺隊の誰かが私の頸を斬ってくれるからだ。
私は鬼になってまで生き延びたいとは思わない、人の気持ちを失うくらいなら死んだ方がマシだ」
『老いることも、死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。
老いるからこそ、死ぬからこそ、堪らなく愛おしくなる、そして尊いのだ』
あの人のことを――・・・この気持ちを忘れて生きるくらいなら私は・・・。