〈このままじゃ建物が倒壊する！！瓦礫で周囲が見えねぇ！！〉

妓夫太郎の動きは素早く攻撃も蟷螂のように大きく広範囲だ、しかも血鬼術の血鎌は方向を自在に変えられる。

「！」

気づいた時には背後に迫っている。

〈しまった！逃げ道がねぇ！〉


天元の背中に血鎌が打ち込まれようとしている。


「鋼の呼吸・捌の型――・・・『ソハヤの矢車』！」

「！」

「？」


ギリギリギリッ！！


琴乃が日輪刀を回転させて血鎌を防ぐ。



「力技で私に勝とうなんて・・・・百年早いわよ！！」



ギャリンッ！！


そのまま血鎌を受け流した。


音の呼吸・伍の型―――・・・『鳴弦奏々（めいげんそうそう）』


爆音を響かせ、刀を回転させて攻撃する天元。

〈騒がしい技で押してきたところで意味ねぇんだよなあ〉


「！」

攻撃を堕姫の帯が阻む。

「お～ら、お返しだぜえ」

「！」

帯の攻撃と妓夫太郎が突っ込んで来る。


鋼の呼吸・漆の型―――・・・『白銀光世（しろがねみつよ）』

雪の呼吸・参の型―――・・・『八星模様』


左右から各々で連続斬りを打ち込んで来る霧香と琴乃。


〈小物がちょこちょこと・・・厄介だなあ〉



「アハハハハッ！死ね死ね、不細工ども！！」

「！」

「ぐおおおおお！！（怒）」

「・・・・」


屋根の上では帯と血鎌の攻撃を避け続けながら戦うアカリ、善逸、伊之助がいる。

「帯に加えて血の刃が飛んでくるぞ！蚯蚓女に近づけねぇ！」

「わかってるわよ！そんなこと！下にいる兄鬼と視界を繋げてるのよ、だから上下ともに私たちの場所がわかるのよ！」

「あ"あ！？じゃあどうすんだよ！？この血の刃、絶対にやべーぞ！！触っただけで死ぬって肌でビンビン感じる！！」

「だからわかってるってば！！」


〈上は上で騒いでるが・・・この短い時間でかなり統制が取れてきたなあ、おもしれぇえ〉



その時だ、頭上から何か振ってきた。
屋根の上から雛鶴が器具を使って大量の苦無を放ったのだ。

〈何だあ、ありゃあ・・・苦無かあ？
柱前に全部捌くのは面倒だなあ、またちまちまと鬱陶しいぜ・・・まあ、当たったところで〉

『回復する』と思った妓夫太郎、しかしそれが分かっていながらこんな攻撃をしてくるだろうか？

「血鬼術・跋弧跳梁（ばっこちょうりょう）」



ギャリギャリリッ！！


血鎌で天蓋を作り弾きかわす。


「！？」


弾きかわし終えたと思いきや目の前に天元が迫ってくる。

〈オイオイ、何やってんだコイツ・・・刺さってんじゃねーか、苦無が〉

それでも突っ込んでくる。
痛みを感じないのだろうか、この男は・・・いや違う、天元は忍びだ。
感覚が常人とは違う、失礼な言い方をすれば真面ではないのだ。
鎌で頭を狙うが身を低くされてて避けられ、反対に自分の足を切断される。

ドスッ！


「！」

苦無が首筋に刺さる。
見れば琴乃が此方に手を伸ばしていた。

〈あの女、俺が弾いた苦無を拾って投げたのかあっ――・・・つっ！？〉


体に異変が起きる、天元に斬られた足が再生しない。
やはりあの苦無の攻撃は無駄なものではなかった、おそらく苦無に毒が塗られていたのだろう。それも自分たちの弱点である『藤の花の毒』が・・・。



「あぁああ・・・」



メィキッ！！



「「「！？」」」


妓夫太郎の足が再生した。