第39話 怒りの瞳色
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「何だぁあ?この女は?」
「お兄ちゃん、そいつよ!最初に私を『醜女』扱いしたのは!!」
堕姫が霧香を指す。
「戻ったのか・・・さっきの顔の方が綺麗だったのに」
ニヤッと笑う霧香。
「お兄ちゃんっ!あんなこと言うのよ!!あいつ、殺して!!殺してよぉ~~っ!!」
「ああ・・・許せねぇな、俺の妹をそんなふうに言うなんてよぉお」
妓夫太郎は鎌を構える。
「俺たちは二人で一つ・・・妹を泣かせる奴は俺が殺してやるぜぇ」
「奇遇だな・・・私も『弟』や『妹』を傷つけたり、泣かせる悪鬼は斬る」
日輪刀を構える霧香。
「お前、柱じゃねぇが普通の鬼狩りじゃねぇな・・・そこのヤツも」
妓夫太郎は天元を見た。
「お前、生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ、選ばれた才能だなぁ・・・妬ましいなぁ、一刻も早く死んでもらいてぇなぁ」
「・・・才能?ハッ・・・」
天元は妓夫太郎の言葉を鼻で笑い飛ばした。
「俺に『才能』なんてもんがあるように見えるか?俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだな」
「・・・・」
あんなに自信満々な態度が印象的な天元から『俺程度』と言った、霧香は目を見開いている。
「オメーもそんな目で見るんじゃねぇよ」
霧香の額を小突く天元。
「テメーら何百年生きていようとこんなところに閉じこもってりゃあ世間知らずのままでも仕方ねぇか・・・この国はな、広いんだよ。
凄ぇ奴らがウヨウヨしてやがる、『得体の知れない奴』もいるし、『刀を持って二月(ふたつき)で柱になるような奴』だっている。
俺が『選ばれた者』だと?ふざけんじゃねぇ!!俺の掌から今までどれだけの命が零れ落ちていったと思ってんだ!!ああ!?」
天元は霧香と杏寿郎を純粋に『凄い』と思った、自分が無限列車に乗車したとしても、妻や炭治郎たちと一緒に任務にあたっていたとしても・・・・とても二人のように『乗客の命を一人も欠かさずに守り抜くこと』はできない。
「だったら・・・どう説明する?お前がまだ死んでいない理由は何だ?
俺の血鎌は猛毒があるっていうのに・・・いつまで経ってもお前は死なねぇじゃねぇか、オイ・・・なああ!!」
「俺は忍びの家系なんだよ、耐性つけてるから毒は効かねぇ」
「忍びなんて江戸の頃には耐えているでしょ!嘘つくんじゃないわよ!!」
嘘ではない、忍びは存在する。
天元には自分を含めて九人の兄弟がいた。
天元の父は一族が徐々に衰退していく焦りから厳しく自分たちを鍛えてきた、だが・・・その訓練のせいで兄弟のうち七人が死んでしまった。
生き残ったのは天元と二歳年下の弟だけだ。
弟は父の教訓からまるで『複写』のようになってしまった、本人の意思は尊重せず、ひたすら無機質。
部下は駒、妻は後継ぎを生むための道具・・・役に立たぬなら死んでも構わない。
天元はそんな父が・・・いや、考え方が大嫌いだった。
『自分はあんな人間にはなりたくない』、兄弟が死んでいく、弟が変わっていく中で強く思った。
しかし自分は忍び、戦いの中でしか生きる術も知らず、逃れられない。
その頃だ、産屋敷輝哉に出逢ったのは――・・・
「つらいね、天元・・・君の選んだ道は」
出逢った当初、輝哉が言った。
「自分が形成する幼少期に植え込まれた価値観を否定しながら戦いの場に身を置き続けるのは苦しいことだ、様々な矛盾や葛藤を抱えながら君は・・・君たちは、それでも前を向き、戦ってくれるんだね。人の命を守るために―――・・・ありがとう、君は素晴らしい子だ」
ジャリ――・・・
「・・・・・」
「ん?んんん?」
天元の様子を見て口角が上がる妓夫太郎。
「ひひっひひひひっ・・・『毒は効かねぇ』だとぉお?
じわじわと効いてるじゃねぇか、虚勢張って・・・みっともねぇなああ!!ひひひっ!!」
「いいや、全然効いてないね!!」
〈お館様――・・・俺の方こそ、貴方に感謝したい。命を賭けることは当然、全ての事はできて当然・・・矛盾や葛藤を抱えている者は愚かな弱者だと、ずっとそんな環境でしたから〉
人生、矛盾や葛藤は付き物、抱えてもいい、弱者でもいい――・・・周りが何と言おうと自分は自分の考え、心のままに生きる!!
「絶好調で天丼百杯食えるわ!派手にな!!」
「そんなに食べたら派手に吐きますよ」
「俺が格好つけてんのに腰折るんじゃねぇよ!!」
天元が鎖で繋がれた二刀を振り回して妓夫太郎と堕姫に斬りかかる。