第37話 それぞれの在り方
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「それで止めたつもり!?弾き飛ばしてやるわ!」
帯を引き、刺された部分を浮かせるが撓った帯が抜けることはなかった。
炭治郎はその帯を伝い、体を回転させて斬ってしまう。
〈嘘っ・・・斬られた?〉
堕姫が驚いている隙に炭治郎がまた間合いに入ってくる。
〈今度こそ、斬れる!〉
炭治郎が堕姫の頸を狙うが―――・・・
「炭治郎!息をして!今のまま、その状態で技を出し続けたら体が保たない!!」
人間の限界は二つあるとされている。
まずは『体力の限界』だ、許容範囲外の身体能力を使い過ぎると人間は苦しくなり、動けなくなる。
そして次に『命の限界』だ、無理が祟れば人間の命は危険に晒される。
その限界を一秒でも長く伸ばせるように、鬼と渡り合うために人は幾星霜幾星霜と長い年月をかけて努力をしている。
怒りや感情だけで勝てるのならば『大正』の時代まで鬼は存在していないだろう。
炭治郎の限界が見えたから霧香は止めたのだ、今の炭治郎は感情に任せ、己の体、技量の許容範囲の限界を超えてしまっている。
那田蜘蛛山でも彼のヒノカミ神楽を目にしたことはあるが、技を一つ出すだけでも今の彼の体には負荷が大きい。
まして彼は呼吸の手練を重ねてから二年弱、まだまだ上弦に渡り合うには若すぎる。
「惨めよね、本当に人間って・・・どれだけ必死でも所詮はこの程度なんだもの気の毒になってくる」
ユラリユラリとまた帯が再生して炭治郎を狙う。
「雪の呼吸・捌の型―――・・・『乱れ霰(みだれあられ)』!」
「そんな死に損ないなんて庇って何になるのよ?」
再びバラバラにされた帯を見ながら苛立だそうに霧香を睨む。
「炭治郎は私の弟、死なせない、この子は私が守る!」
「弟・・・そんな内臓ボロボロで何の役にも立たない弟なんて見捨てればいいのに。
傷も簡単には治らない・・・その弟が言った通りよね。
じゃあ、姉弟仲良く頸を落としてやるわよ」
ニヤリと口の端を引きつらせた堕姫が再生した帯を集めて攻撃体勢に入ろうとすると・・・。
ドゴオ!!
「!」
目の前の堕姫が吹っ飛んだ。
「ヴ―ッ!ヴ―ッ!ヴ―――ッ!!」
「禰豆子ちゃん・・・?」
おそらく炭治郎や自分の危機を察して来てくれたのだろう。
禰豆子が自分たちを堕姫から防ぐように立ち塞がる。
しかし禰豆子の様子も妙だ。
体中に血管が浮き出ている、もしや鬼舞辻の細胞が影響しているのか・・・。
堕姫は今まで禰豆子が会った中のどの鬼よりも強い。
「よくも・・・やったわね、アンタ!」
顔をボロボロにされた堕姫、禰豆子を睨んでいるようだ。
「アンタなのね、あの方の言っていた鬼はアンタなのね!」
堕姫は鬼舞辻の言ってことを思い出した。
『堕姫、私の支配を逃れた鬼がいるんだ。
珠世のように・・・見つけ出して始末してくれないか?君にしか頼めないんだ』
『無惨様の支配を逃れた鬼?』
『そう、麻の葉模様の着物に市松模様の帯を締めた娘だ。そしてもう一人・・・』
「波流門鬼術・『波紋鼓』」
「!」
水泡が堕姫を頭上から狙い打ってくる。
「禰豆子ちゃん、こっちへ!」
「!」
霧香が禰豆子の腕を引く。
「・・・・っ!」
「一度落ち着いて、炭治郎は大丈夫だから・・・」
禰豆子の目を見て諭すように話しかける。
「お兄ちゃんは大丈夫、大丈夫だよ」
「・・・・・」
「響凱」
「わかっている、任せろ」
響凱が鼓を打つ体制に入る。
「響凱・・・響凱!」
堕姫は鬼舞辻が言ったもう一つの名前を思い出す。
『もう一人は・・・元下弦の陸の響凱だ、あいつは今、五大呪術家の海野家の使役鬼になっている』
『そんな無惨様の直属だった者が・・・』
許せない、許せないっ―――・・・!!
あの方の期待を裏切っただけでなく、血すらも裏切ったなんて!!
堕姫は怒りが沸々と沸き上がる。