第37話 それぞれの在り方
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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歴代の炎柱の書には『日の呼吸』の使い手の額には生まれつき『赤い痣』があるのだそうだ。
しかし、炭治郎の痣はそもそも痣ではない。
昔、弟を庇うため火鉢にぶつかってできた火傷だ。
炭治郎の父親の炭十郎は額に痣があったそうだが自分はそうではない、偶然に火傷をし、これまでの負傷の結果、痣になったのだ。
実際は『日の呼吸』の後継者ではない・・・それでも選ばれた者ではなくても、人にはどうしても退けない時がある。
「失われた者は回帰しない、二度と戻らない」
「炭治郎?」
炭治郎の斬撃を堕姫は避けて距離を取った、炭治郎は振り切った姿からゆっくりと立ち上がる。
「生身の者は鬼のようにはいかない、何故奪う?」
「・・・・っ」
炭治郎を追って屋根に上がってきた霧香は様子がおかしいことに気付く。
「何故、命を踏みつけにする?」
目の前にいるのは本当に炭治郎だろうか?
血の涙を流し、堕姫に問いかけているこの子は自分の知っている炭治郎なのだろうか?
いいや、炭治郎であって炭治郎ではない、放つ言葉がどこか懐かしく、また鬼を責めている。
「何が楽しい?何が面白い?命を何だと思っているんだ。
どうしてわからない?どうして忘れる?人間だったのだろう?お前も・・・かつては、痛みや苦しみにもがいて涙を流していたはずだ」
ドゴッ!
「!」
堕姫が瓦を殴りつけた、苛立っているようだ。
「ごちゃごちゃごちゃごちゃ五月蠅いわね・・・昔の事なんか覚えちゃいないわ、アタシは今、鬼なんだから関係ないわよ!
鬼は老いない!食うための金も必要ない!病気にもならない!死なない!何も失わない!
そして美しく強い鬼は、何をしても許されるのよ・・・!!」
「本当にそう?」
「!?」
今度は霧香が問う。
「本当にあなたは『何も失わなかった』の?」
「何ですって・・・」
「今のあなたは『本当に美しい』と思っているの?」
「!」
『何も失っていないと本気で思っているとは・・・鬼というのは悲しい生き物ね』
堕姫の頭の中に霧香ではない女の声が聞こえる。
〈何なのよこれは!!あのガキと同じ、この女のこの言葉・・・無惨様の細胞がまた反応している!〉
「血鬼術・八重帯斬り(やえおびぎり)!」
帯の交叉攻撃が霧香に向かう。
〈いくら速い動きができるアンタでもこれはかわせないわよ!私を馬鹿にした報い!受けるがいいわ!!〉
「!」
そこに炭治郎が突っ込んできた。
〈馬鹿ね、この花街を支配するために分裂させていた私の帯を一つに戻した今、威力はさっきの比じゃないのよ?
受けるだけで精一杯だったアンタなんてお終いよ、さようなら・・・その鈍ごと斬ってやるわ〉
さっさと始末して天元の元に向かおうと思う堕姫だったが予想外のことが起きた。
「『ヒノカミ神楽・灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)』」
「!」
帯に痛みが奔る、炭治郎に斬られたところが熱を帯びで灼けるように痛む、さらに再生が上手くできないのだ。
〈そんな、バカな・・・コイツも相当深手のはず!なのにどうして、こんな・・・そもそもさっきまで受けるだけが精一杯だったこのガキに何で、私の帯が斬られるのよ?硬度も上がってる・・・〉
堕姫は自分が震えているのに気が付く。
でも自分が震えているのか、それとも無惨の細胞が震えているのかわからない。
そう考えているうちに懐に入られ、頸を狙われる。
「アンタなんかに・・・アンタなんかに、アタシの首が斬れるわけないでしょ?」
堕姫の首は柔らかすぎて斬れない、帯のしなやかさが体にも影響しているのだろう。
「今度は逃がさないわよ、この醜い糞餓鬼!!」
帯の数が増えた全部で十三本、しかし炭治郎の目に先ほどの目で追う切迫感はなかった。
帯の動きがゆっくりと見えている、そのため襲って斬る帯を確実に対処できていた。
「今度は斬らせないから!さっきアンタの刃がアタシの首に届いたのはただの偶然よ!!」
「・・・・・」
炭治郎は受け止めていた帯を鎬で受けて一か所に集めるとともに一気に貫いた。
帯の動きが固定されてしまう。