第37話 それぞれの在り方
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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逃げた帯はというと・・・。
ギュルギュルッ!
「!」
「何だ!?」
本体である堕姫のところに戻ってきていた。
分身体みたいなものだったのだろう、獲物・・・つまり人間を攫い、喰うために分裂した。
しかし地下貯蔵庫を台無しにされたので本体に戻ることにしたようだ。
「そう・・・やっぱり柱がいたのね、良かった」
帯を吸収した堕姫の髪は変色し、体も変化する。
「これで、あの方に喜んでいただけるわ・・・」
〈姿が変わった・・・いや、本来の姿に戻ったと言うべきか〉
そんなことを考えていると後ろから怒鳴り声がする。
「おい、何してるんだ!お前たち!人の店の前で揉め事を起こすんじゃない!!」
気付くと他の店の遊女や奉公人たちも顔を覗かせている。
「・・・うるさいわね、蟲のくせに」
「!」
一瞬の事だった。
堕姫の帯が待ったかと思うと建物の形が歪んだ。
ズンッ、ゴワシャッ!ガラガラッ・・・!
「キャアアアァァァ――!!!」
周りの廓の一部がズレ落ちてきた。
「グガアアアッ!」
怒鳴ってきた男は霧香が刀で攻撃を防いだものの手首を切り落とされていた。
「霧香さんっ!」
「大丈夫・・・」
そう言う霧香の頬に線が入り、血が滲む。
「少しかすったか・・・」
「霧香!」
ちょうどそこへ杏寿郎たちがやって来る。
「煉獄さん」
杏寿郎たちも目の前の惨状に驚いている。
廓は崩れ、中でこちらの様子を窺っていた人たちにも被害が出ている。
「煉獄さん・・・この方の止血をお願いします、それから悲鳴嶼様たちは廓の中にいる方々の避難を」
「承知した」
「・・・・・」
堕姫は何事もなかったかのようにその場を去ろうとする。
「待て」
「?」
「許さないぞ・・こんなことしておいて」
「何?まだ何か言ってるの?もういいわよ、不細工」
蔑むような目で炭治郎を見る堕姫。
「醜い人間は生きている価値なんてないのよ、仲良くみんなで死に腐ればいいわ」
「!」
ドックン・・・ドックン・・・
炭治郎の中で何かが弾けた。
炭治郎は吐き捨てて去って行こうとする堕姫の足を掴んで斬り付けた。
心の中である人の手紙の言葉が蘇る。
『竈門君、君には悪いことをした。
杏寿郎のために泣いてくれてありがとう、千寿郎とも手紙のやり取りをしてくれているそうだね、あの子も随分元気になった。
初対面であのようなことになってしまい、恥ずかしく思う』
それは杏寿郎と千寿郎の父・愼寿郎からのものだった。
『私も今になってようやく自分の愚かさに気付かされた、君と海野家の者達に気付かされた。
昔の私は自分の無能に打ちのめされていた。
そして畳みかけるように最愛の妻を病で亡くした。
それから酒に溺れ、躓き続けた、とんでもない大馬鹿者だ。
杏寿郎はそんな私を責めることもなく、昔も今も変わらずに接してくれている。
千寿郎とも一緒に長らく開いた溝が少しずつ戻ってきているよ。
あの子(杏寿郎)は私などと違い素晴らしい息子だ、私が教えることを放棄した後でも炎の呼吸の指南書を読み込んで鍛錬し、柱となった。
たった三冊しかない本で・・・瑠火の、母親の血が濃いのだろう。
あの子たちは立派だ、そして竈門君、君はもっと凄い力がある』
〈いいえ、愼寿郎さん・・・〉
手紙の言葉を直接ではないが炭治郎は否定していた。