第36話 鬼帯の巣
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「どうもお騒がせ致しました~、コレ」
姐さんの一人に大きな包みを渡す。
「廓の修繕費用と私たちの身売り金(借金)とお世話になった金額です、旦那さんと女将さんにお渡しくださいな」
「え?え?」
「本日限りでお暇致します!お世話になりました~!」
そして颯爽と荻本屋を出た。
「さて『仕付け糸』を辿らないとね」
自分の日輪刀に結んである糸を見て、走り出す琴乃。
一方、先に穴に入った伊之助はというと・・・。
「オオオオ!!」
グニャグニャ移動しながらボンッとある場所に出た。
そこには帯がはぐりめぐらされていた、そして帯の中には・・・。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
女性だ、それも何人も何人もだ・・・。
『人間柄の布』という考え方もできるが伊之助が触った途端に生きている人間だとわかる。
それで伊之助は答えが出た、これは鬼の血鬼術。帯の中に人間を閉じ込め、好きなときに取り出し喰うためだと・・・つまりこの帯は鬼にとっての『人間の収納庫』だ。
「ん?」
閉じ込められている人間の中に見知った顔がいる、善逸だ。しかも鼻提灯をふくらませながら眠っている。
「何してんだ、コイツ?」
いなくなったことでみんな心配していたというのに当の本人は鬼の手の中とはいえ、暢気に眠っている・・・伊之助は呆れるしかない。
と――・・・その時だ。
『お前が何してるんだよ』
「!!」
地底を這うような声が響いてくる。
『余所様の食糧庫に入りやがって・・・汚いね』
ぐねぐね・・・と帯が動く。
『汚い、臭い、糞虫が!!』
艶やかな帯にギョロッと気味の悪い目玉が二つ現れて伊之助を睨んでいる。
肉厚な唇が歯を見せてギチギチ歯ぎしりをしている。
〈何だ!?この蚯蚓っ、キモッ!!〉
今回は伊之助の言葉の表現が正しいかもしれない・・・。
『さっさと出て行きなッ!』
帯は伊之助を追い出そうと仕掛けてくる。
しかし・・・。
「ぐねぐねぐねぐね・・・気持ち悪ィんだよ、蚯蚓帯!!」
軽く避けて日輪刀を振るう。
「グワハハハハッ!動きが鈍いぜ、欲張って人間を取り込み過ぎたな!
でっぷり肥えた蚯蚓の攻撃なんぞ伊之助様には当たりゃしねぇ!ケツまくって出直してきな!」
伊之助は帯の中にいる人間を救出していく。
〈チッ・・・上手いこと人間を避けて斬りやがる!せっかく鮮度の高い食糧を保存していたのに!
そしてこの勘の鋭さ!!特に殺気を感じる力が尋常じゃない!〉
伊之助の動きを見て鬼の帯は驚いている、何せ前後左右の攻撃を避けられているのだ。
この状況はただでさえ想定外だ、この貯蔵庫に鬼狩りが・・・しかもあの細い道を通ってくるなんて・・・・。
『生かして捕らえろ』
その時、帯の耳に堕姫の声が聞こえる。
『そいつはまきをを捕らえる時に邪魔をしてきた奴だ、美しかった。
それとソイツと一緒にいた背の高い女の鬼狩りも捕まえろ、保存していた人間も含めて十人以外はお前の体の養分にしろ、生け捕りはただ殺すより難しいから・・・捕らえる鬼狩りと残り八人以外はお前が喰え』
『・・・・』
帯は堕姫の声が聞こえなくなると目玉をギョロリと伊之助に視線を移す。
体をギュルギュルとうねり、伊之助の日輪刀を弾く。
「!?」
弾かれたことで手放してしまう伊之助だが足で刃先を挟み、回転させて掴み直す。
「獣の呼吸・陸の牙―――・・・『乱杭咬み(らんくいがみ)』!」
型で斬りかかろうとする伊之助。
『アタシを斬ったって意味ないわよ、本体じゃないんだから・・・』
「!?」
『それより、せっかく救えた奴らを疎かにしてもいいのかい?
アタシわね、やられた分はすぐに取り戻せるんだよ?アンタよりも体が柔らかいし、細いんだから・・・」
〈ヤベッ―――・・・!〉
気絶している一般人を庇いながら戦う技量は伊之助にはない、また帯の中に取り込まれそうになると思われたが――・・・。
帯が苦無によって地面に縫い付けられた。