「！」

〈太刀筋が変わった、さっきよりも鋭い〉

霧香も堕姫も驚いている。


ゴオオ――・・・


〈何なの、この音は――・・・嫌な音ね、呼吸音？〉

炭治郎から聞こえる先ほどまでとは違う音、堕姫は耳を抑えている。

「！」

しかし炭治郎はすぐ目の前に現れた。

「『炎舞』！」

堕姫は後ろに退いてかわされる。


「所詮はその程度よね」


炭治郎を横から帯が貫く。


「炭治郎！」


霧香からも炭治郎の首が切断されたかのように見えた、しかし―――・・・


「『ヒノカミ神楽・幻日虹（げんにちこう）』」

「！？」

炭治郎の姿が消えた。

体を捻り、かわしに特化した技・・・目が良いもの程、その残像がしっかりと映ってしまう。

「『ヒノカミ神楽・火車（かしゃ）！』」



堕姫の首を炭治郎が捕らえた。


「まさか・・・これで私の不意をついたつもり？」

「！」

「あくびが出るわね」



バチッ！！


「ぐあっ！」


炭治郎は弾き飛ばされた。
受け身を取ったもののヒノカミ神楽を連発した反動が体にのしかかってくる。

「ハッ、ハッ、ハッ・・・くっ！！」

「炭治郎！」

「つっ・・・」


「呼吸を整えて！敵は待ってはくれない！」


その通りだ、堕姫はもう炭治郎を貫く体制に入っている。


「あああっ――！！」


炭治郎は回復の呼吸で起き上がる。
また堕姫との激しい攻防戦になる、しかし堕姫自身が攻撃しているわけではなく、あくまで帯が動くのみ。
この帯が強靭な刃になっているようで炭治郎が隙の糸を見つけようとも断ち切ってくる。


〈ハア、ハア・・・闘えている、俺でも！上弦の鬼と闘えている！
ヒノカミ神楽なら通用するんだ！
でも『通用する』だけじゃダメだ、勝たなければダメだ！この力をすべて使って必ず勝つんだ！

理不尽には奪わせない、もう二度と・・・・誰も〉



炭治郎の脳裏に今まで鬼によって悲しい思いをした人々が浮かぶ。



自分や禰豆子、しのぶ、義勇、そして無限列車で鬼に利用された青年ともも、愼寿郎と千寿郎――・・・


「・・・・」



自分たちや二百人の乗客を守るために瀕死になった霧香と杏寿郎。




「俺たちと同じ悲しい思いはさせない！！」



「ふふふっ・・・不細工はどう頑張っても不細工なのよ、まだわからないみたいだねぇ」












続く