第35話 神楽舞
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「宇随様!」
「よお、アカリ、来たか」
「はい」
アカリは天元が京極屋の旦那から情報を聞き出している間に元の隊服に着替えていたのだ。
「ネズミから刀は受け取ったか?」
「はい」
アカリの隊服や刀は宇随の鼠が運んでくれたのだが、これが筋肉ムキムキの鼠で一瞬だが引いてしまった。
「雛鶴さんの居場所はわかりましたか?」
「ああ、あの切見世のどこかにいる」
「それなら私に任せてください、雛鶴さんが飲んだと思われる毒薬はお持ちですか?」
「ああ」
天元が丸薬を取り出す。
懐紙の上で握り潰すと匂いを嗅ぐ。
スンスン・・・
「こちらです」
屋根伝いにある切見世の一室に辿り着く。
「雛鶴!」
「天元様っ・・・」
少量だったのか、それとも遅効性なのか、雛鶴の息が苦しそうだ。
くノ一となので毒の効き目はわかっているので調整はしているであろうが、それでも賭けだ。
すると・・・。
ユラリユラリ・・・
雛鶴の近くにあった帯がひとりでに揺らめき始める。
「気を付けて下さい!その帯、鬼の匂いがします!」
「!」
天元がすぐに苦無で帯を壁に貼り付けにする。
「雛鶴・・・」
「天元様っ・・・」
苦しそうな雛鶴を抱き起し、急いで解毒薬を飲ませる。
「奥様は大丈夫ですか?」
「ああ、少量だった分助かったぜ。もうすぐ解毒薬が効いてくるはずだ」
「よかった・・・」
嫁が見つかって天元も少し安心しているようだ。そして命も助けることが出来た。
その時だ、遠くで大きな音がしたのは・・・。
「「!?」」
「天元様」
雛鶴が弱弱しくも話し出した。
「私には構わず、もう行ってくださいませ・・・先ほどの音が聞こえましたでしょう。鬼が現れています・・・早く仲間のところへお行きください」
「で、でも・・・」
「・・・・・」
雛鶴はまだ苦しそうだ。
「私のことは気にしないで・・・大丈夫よ」
ニッコリと笑う雛鶴。
「本当に大丈夫だな?」
「はい・・・お役に立てずに申し訳ありません」
「いいや・・・お前はもう何もしなくていい」
ここまでさせてしまったのは他ならぬ天元自身だ。
「解毒薬が効いたら吉原を出ろ、わかったな」
そう言うと雛鶴をギュッと抱きしめた。
それを見たアカリは天元が本当に愛妻家なのだと感じた、雛鶴も天元が来てくれたことに涙を流して安堵しているようだ。
「雛鶴さんのことは大丈夫です、私の鬼が守ります」
「?」
「使役・解放!来なさい、燕薇!」
那田蜘蛛山で呼び出した羽根の生やした鬼を呼び出すアカリ。
「これは・・・」
「私は五大呪術家の焔アカリです、この子は私の使役鬼。
獣肉を長年食しているため人肉には反応しません、この子に雛鶴さんの守り役を務めさせます」
「・・・・・」
「宇随様、鬼である私に不快感があるのは仕方のないことだと思います。
しかしアカリ様と私を信じて奥様を託していただけないでしょうか?」
天元は燕薇を見る、見た目こそ人外ではあるが目は主人のアカリのように『人を愛する』光を放っていた。
「・・・・わかった、お前に俺の嫁を託す」
「ありがとうございます。
『炎は生命を守る』、必ず私が奥様を御守りいたします」
燕薇に雛鶴を任せて二人は音のした方に向かった。
「アカリ」
「え?」
「感謝するぜ、あの様子の雛鶴を一人置いて行くには少し不安があったからな」
シュタッシュタッと軽快に屋根を飛び移っていく天元。