第34話 三夜通い
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「藤の花の家紋の屋敷で腕に何か書かれたでしょ?『藤花彫り(とうかぼり)』っていうんだよ」
「確かに書かれはしましたけど疲れてて覚えてません・・・」
確かにあの時は任務から帰った後にすぐ出発したので藤の花の家紋の屋敷に到着した時、フラフラですぐ眠ってしまった炭治郎の様子を思い出した霧香。
「伊之助くん」
「おうよ!階級を示せ!」
言葉を紡ぎ、腕の筋肉を膨張させると手の甲に『庚(かのえ)』の文字が浮かび上がる。
「今回の無限列車の功績が評価されて善逸くんと伊之助くんと炭治郎は『庚』の昇格したんだよ」
「え?じゃあ三人もですか?」
「もちろん」
「「「階級を示せ」」」
三人も同じようにすると『戊(つちのえ)』の文字が浮かぶ。
「私たちはこれまでの鬼を討伐した数と下弦の壱を討伐補助の功績で昇格」
「私は無限列車で煉獄さんと二百人の乗客を救ったことと猗窩座との交戦の実績を評価されての昇格」
「・・・・・」
いつの間にそんなことになっていたのかとポカーンとする炭治郎。
「さて・・・階級の話はここまでにして、とりあえず夜まで待ちましょう。
そして炭治郎くんと霧香はときと屋を出て荻本屋に来て頂戴」
「そうだね、今まで夜は宇随様が見張っていてくれたけれども『鬼が出た』という情報は入ってきていない。
そしてアカリが潜入していたのに善逸くんが消えたということは京極屋で働いている誰かが鬼ということになる。
そして荻本屋にいたのが鬼だとしたら隠し通路で移動している可能性があるね」
「ええ、そのところは伊之助くんに調べてもらうわ。お願いできるかしら」
「おう、任せとけ」
「それから・・・」
さっきからウズウズしている三人を見る。
「煉獄さん」
「何だ!」
「宇随様が仰っていたように今回あなたには指令が下っていません」
「む・・・」
「ですから介入はここまでにしてくださいね」
「むむ・・・しかしっ」
「あなただけではありません、悲鳴嶼様も時透様も同じです。あなたがたはすぐに藤の花の家紋の屋敷へお戻りください」
霧香の言うことは最もなのだが自分の好いた相手(気になる相手)を残して行けと言うのもなかなか過酷な話である。
「「・・・・・」」
悲鳴嶼も無一郎も納得してないようだ。
「・・・・では、一つだけお願いをします」
「何だ!」
ガバッという音が聞こえるかのような勢いで迫ってきた杏寿郎。
「もしここに潜んでいた鬼が上弦だった場合、それも複数だったら無限列車以上に一般人が被害に遭います。
煉獄さんたちはその方々を安全な場所へ避難させてください」
「・・・・・」
「これが私から『鬼殺隊ではない』あなた方に頼める唯一のことです、お願いできますか?」
「・・・・うむ、承知した」
霧香の固い決意を秘めた眼差しを見て言いたいことが伝わったようだ、杏寿郎は強く頷いた。
「お二人もお願いいたします」
「うむ、人々のことはこちらに任せよ」
「君たちも気を付けてね・・・」
「はい」
三組と二人は今後のことに納得し、大手門へと向かった。
そして行動決行の夜、霧香と炭治郎は鯉夏花魁の部屋に来ていた。
「鯉夏花魁」
「っ!」
急に背後に現れた二人に驚く鯉夏。
「不躾に申し訳ありません、お別れを言いに参りました」
「お別れ?」
「はい、私と炭治郎はときと屋を出て行きます。私を買ったお金はここにありますので炭治郎ともどもお世話になったお礼と一緒に旦那さんにお渡しください」
包を鯉夏の前に置く霧香。
「じゃあ霧香さん、俺は先に・・・」
「うん、私もすぐに行く」
炭治郎は頷くと姿を消した。
「霧香ちゃん、アンタたちは一体・・・」
「分け合ってのことですが実は私たちは姉弟ではありません、ある役目を果たしにここにきたんです」
「そう、でも姉弟じゃないっていうのは薄々感じてたわ」
「え?」
「炭(たん)ちゃんのあなたに対する言葉が少しおかしかったからね。
須磨ちゃん以外のことでも事情があるんだろうなとは思っていたのだけれど・・・」
「あはは・・・やっぱりおかしかったですか?」
「ええ、あの子は嘘がつけない子だからね」
鯉夏がクスリと笑ったので苦笑する霧香。