第34話 三夜通い
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「!」
「僕は泣いている人をどうすればいいのかわからない・・・でも、君が泣いているのは嫌な気持ちになる。だから・・・君が泣き止むまでこうしているよ」
無一郎の手は力強かった、儚げな印象なのに握る手はやはり男性のもので包まれているように感じられた。
「ありがとう、ございます・・・」
無一郎はひたすらアカリが泣き止むまで手を握り続けた。
そして翌日、鎹鴉伝に霧香や琴乃の所にも知らせが届いた。
「善逸くんが・・・」
「消息不明・・・・」
二人は自分の傍らで寝ている杏寿郎と悲鳴嶼を起こし事の次第を告げた。
二人も理解してくれて女将に『大手門までの付き添いとして』と伝えてくれた。
炭治郎と伊之助にはこっそり抜け出してくるように伝えて先に大手門近くの裏道に入った。
「来たか・・・」
そこには天元の他に先に到着していたアカリと無一郎がいた。
「話は聞いたな?」
「はい」
「そうか」
そして遅れてやってきた炭治郎たちも合流した。
「どうしたんですか?こんな朝早くに?」
「お前たちに伝えておくことがある、昨夜から善逸の行方がわからなくなった」
「え?」
「アカリから知らせが来た、どうやら鬼は京極屋にいたようだ、まずは弱そうな善逸から始末にかかったのかもしれん」
「そんなっ・・・」
「ちょ、ちょっと待てよ!京極屋に鬼がいるだと!?じゃあ荻本屋にいたアレは何だったんだ?」
アレとは天井裏にいた何者かのことだろう。
「別に『鬼が一体』なんて言ってねーだろう」
「!」
「それは、複数いるってことですか?」
「・・・・」
天元は黙ってしまう。
「お前たちには悪いことをしたと思っている。
俺は嫁を助けたいが為にいくつもの判断を間違えた、その結果、善逸が行方不明になった。
お前らはすぐにここを出ろ、お前たちの手には負えねぇ。
ここに潜んでいるのが上弦の鬼だった場合、お前たちには対処が無理だ。煉獄たちは帯刀してねぇから尚更な。
消息を絶ったものは死んだと見做す、あとは俺一人で動く」
「待て、宇随!お前ひとりでなど無茶が過ぎるぞ!」
杏寿郎が止める。
「指令を受けてない奴は黙っていてもらおうか、それにこれは俺の役目だ。俺の嫁がここ(遊廓)で囚われてるんだ、旦那の俺が行くのは当然だ。
それに煉獄よ、生きてこその人生だ。それはお前が身をもって経験してるだろう?」
「・・・・」
確かにそうだ、無限列車でのことを引き合いに出されたら止めきれない。
「お前らもここで下りる事を恥じるな、生きてる奴が勝ちなんだ、機会を見誤るんじゃない」
そう言うとフッと天元は姿を消した。
「行ってしまったな」
「どうしましょうか?」
「うむ・・・」
残った八人は考える。
「私は残る」
「アカリ・・・」
「善逸は私の弟弟子よ、必ず見つけるわ。それに宇随様は『死んだものと見做す』って言っていたけどあの子は簡単に死ぬ子じゃないわ!」
「そうよね、雷に撃たれても生きてた子ですもんね」
のほほんと琴乃が言った言葉にアカリを除いた面々は『嘘ッ・・・』という顔をしている。
「そうよ!あの悪運の強い善逸が死んでいるわけがないわっ、絶対に見つけるわ、そして心配かけた罰として引っ叩いてやる!」
「いやいや、そこは労わろうよ。
でも『残る』のは私も一緒だよ、善逸くんのことを放っておくなんてできないし」
「私もよ、手伝うわ。それに天井裏にいたやつも何なのか気になるし」
華陽隊の心は『残る』一択のようだ。
「あなたたちはどうする~?」
炭治郎たちを見る華陽隊。
「俺たちは・・・」
「でも階級が低いことで信用されていないのなら俺たちが残っても宇随さんの足手まといになるんじゃ・・・」
後ろめたさからか炭治郎の視線が下がる。
「何言ってるの?炭治郎?私たちもう『癸』じゃないんだよ?」
「へ?」
炭治郎の体が固まる。