第33話 お披露目
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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コクッ・・・
「?」
気付くと炭治郎も眠っていた。
「炭治郎」
「ん・・・?」
「こっちにおいで、座りながらだと首を痛くするよ」
炭治郎は眠気に勝てずに声の方に寄りかかった。
「疲れさせてごめんね」
でも霧香は幸せだった、危険な任務の最中だとしても炭治郎や禰豆子の存在は心強いことだった。
そして夜見世の時間。
「藍雪新造、お願いします」
「はい」
張り見世に座り、通り行き交う男たちを見る。
自分たちが据わっているところとは張りで仕切られており、外から気に入った遊女を見つけて指名するのだ。
しかしあらかじめ予約が入っている遊女はここにはいない、馴染み客が早々に来るからだ。
禿たちが三味線を弾いて店の雰囲気を盛り上げる。
「さあさ、見ていっておくんな!」
「そこの旦那、いい子がいるよ!」
「ご案内!ご案内!」
呼子の妓夫が外で客引きをしている、炭治郎も兄妓夫に教えてもらいながら声をかけている。
「アンタ、やっぱり映えるねぇ」
「え?」
「普通は十年かけて一人前になるのに身売りされた日にいきなり新造だもの、よっぽど期待されてるんだろうね。
女将さんのためにも裏切るんじゃないよ?」
「はい・・・」
隣りにいた姐さん遊女が微笑みかけてくる。
その時だ、外が騒がしくなる。
「おや?何だろうね?」
姐さん遊女たちも声の方に振り向くと・・・。
「藍雪、ご指名だよ」
「え?私?」
「そうだよ、早く来な」
立ち上がり鑓手の所に向かうと随分とホクホク顔だ。
「お前さんに一目惚れしたんだそうだ、結構羽振りのいい客だから無下にすんじゃないよ?わかったね」
「・・・・」
男が自分を金で買った、他の男が・・・そう思うとなんとも複雑な気分だった。
〈煉獄さん・・・〉
脳裏に杏寿郎の顔が浮かぶ。
「何ボサッとしてんだい?早く行きな!」
「・・・・はい」
霧香はそのまま客の待つ部屋に向かった。
「霧香さん」
「炭治郎・・・」
入り口には炭治郎が立っていた。
悲しそうな顔をしている霧香に対して炭治郎は微笑み、耳打ちした。
「大丈夫ですよ」
「え・・・?」
一瞬、彼が何を言ったのかわからなかった。
「お部屋に行ってみてください、そしたらわかります」
炭治郎がああ言っていたものの霧香の心は晴れなかった。
ある部屋の前に着くと膝を折る、この部屋の中に自分を買った客がいる。
羽振りがいいのであれば今後も通ってくるだろう、遊女は格によって異なるが上位の者は三回店に通わなければ触れることは許されないとされている。
しかしこの客が明日もその後も通い続ければ、距離を縮めざるを得ない。
でもこれも任務のためだ、鬼を捜し出すためにはやらなければならない。
禿に襖を開けてもらい中に入る。
「藍雪でありんす」
「来たか、待ちかねたぞ!」
「!」
その声を忘れるはずがない。
約束事で少量の蝋燭だけでの対面だが、目だけを移して確認すると・・・自分を指名した客は間違いなく煉獄杏寿郎その人だった。
炎のような赤い瞳、太陽のような黄色い髪、心地よい声。
「煉獄さん・・・」
「ああ、俺だ」
現実を確認したくて名を呼んでみると相手も頷いてくれる。