第33話 お披露目
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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パシッ!
「?」
「!」
その時だ、蕨姫の腕を善逸が掴んだ。
「お、俺の姉さんから・・・手、離してくださいっ・・・!」
蕨姫の目つきがさらにきつくなる。
最近苛立だしいことが多い、二日前に殺したこの店の女将もそうだ。
「いい加減にして頂戴」
「何が?」
この部屋であの女は自分に言った。
「うちから怪我人や足抜け、自殺する子を出すのをだよ。自殺した子はアンタがいじめ殺したようなもんだろう?蕨姫」
「ひどいわね、女将さん・・・どうして私の味方をしてくれないのよ?
私の癪に障るようなことをしたあの子たちが『悪い』とは思ってくれないの?」
蕨姫の目が細まる。
「アタシはね、これまで随分目を瞑ってきた・・・でもね、もう限界だよ!アンタのは度を越している、庇いきれないッ!」
「・・・・・・」
蕨姫は額に筋を立てて顔を少し左に傾ける。
「誰のおかげで・・・この店がこれだけ大きくなったと思っているんだい?」
「・・・・・蕨姫、いい機会だから言わせてもらうよ。
アタシがまだ子供のころ、聞いたことがあるんだよ、茶屋のお婆さんに。
物忘れが酷かったけど、ある花魁の話をしてくれたのさ、ものすごい別嬪だったけど、ものすごい性悪で・・・おばあさんが『子供の頃と中年の頃』にそういう花魁を見たって。
その花魁たちは『姫』って名前を好んで使っていて気に入らないことがあると・・・今のアンタみたいに『首を傾けて下から睨みつけてくる』独特の癖かあったって」
女将は帯の間から包丁を取り出したが蕨姫の動きの方が早かった。
「女将・・・そういうことはね、気づいたところで『黙っておく』のが『賢い生き方』というものなんだよ、今までみんなそうして生きてきたのに」
今までみんな―――・・・蕨姫は確かに言った。
この女が人ならざる者であることは今は亡くなっている廓の関係者は少なからず思っていたのだろう。しかし彼女が恐ろしかったので口には出さなかった、理由はただ一つ。
喋ってしまえば・・・今の自分と同じ目に遭うからだ。
「お前は私が思っていた以上に・・・ずっとずうっと頭が悪かったようだねぇ、ねえ?お三津」
蕨姫はニヤリと笑った、両眼には『上弦・陸』の文字が出ている。
彼女こそ十二鬼月の上弦の陸・堕姫だった。
「そんな怯えなくても大丈夫さ、私は干からびた年寄りや醜悪で醜いものは食べたりなんかしない。
お前はグシャッと『転落死』さ」
ドガッ!
「アタシに気安く触るんじゃないよ、のぼせ腐りやがって、このガキが」
「善逸!」
「どうやら躾が必要なのはお前の弟の方のようだね?ここじゃ、男は女より下なんだよ・・・それをたっぷり仕込まないとならないようだね」
「やめっ・・・!」
善逸と蕨姫の間に立とうとするアカリだったが騒ぎを聞きつけた楼主が現れた。
「蕨姫花魁・・・!!この通りだ、頼む!勘弁してやってくれ、もうじき店の時間だ!すぐに客が来る!
あとは俺がきつく叱っておくから、ここは俺の顔に免じてどうかっ・・・!」
楼主が土下座をしている。
「旦那さん、頭を上げておくれ。
私の方こそ御免なさいね、最近ちょいと癪に障ることが多くって・・・入ったばかりの子に厳しく当たり過ぎたね、手当てしてやって頂戴」
蕨姫は先ほどの表情が嘘かと思うくらいに柔らかい表情をした。
「すまない!本当にすまない!!
篝火、お前は店に出る支度をしろっ!善逸はさっさと手当てして呼び込みの方に回れ!」
アカリは楼主に引っ張られ自分の部屋に、善逸は妓夫仲間が背負ってその場を立ち去った。
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そしてまたまた場所が変わり、廓が並ぶ大通り。
「ねえ・・・廓って幾つあるの?本当に見つかるの?」
無一郎が張り見世を回り続けてながらため息をついた。
「うむ・・・確かにどうしたものか」
困り果てていると聞き覚えのある声がする。
「おう!おう!お前、入ってけ!」
「うおっ!?何だこいつは!?」
一人の男性客を捕まえている少年に三人の目が釘付けになる。
「猪頭少年!」
杏寿郎がいち早く駆け寄った。
「あ、ギョロギョロ目ん玉」
伊之助は捕まえていた客を離す、客は慌てて去って行った。
「君もここにいたのか、では竈門少年や黄色い少年も」
「ああ、別の所にいるぜ」
「皆で同じところにいるのではないのか?」
そこに行冥が現れたことに若干驚いている伊之助、行冥は長年岩柱として勤めてきた功労者だ。
その人並外れた強者の気配が伊之助の感覚を刺激したのだろう。