第33話 お披露目
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「噂話はよしなさい」
「鯉夏花魁!」
「本当に逃げ切れたかどうかなんて・・・わからないのよ、いいわね」
「「はぁい」」
「アンタも足抜けのことを深堀して聞くのはやめなさいね」
鯉夏は霧香に言った。
「でも・・・」
「どうしても知りたいわけでもあるのかい?」
「実は・・・須磨花魁は私と姉妹同然に育ってきた人なんです、とても可愛がってもらっていました。須磨姉さんは美人だから売られるって話を聞いた時、少し納得してしまいました」
「そうだったの・・・でも須磨ちゃんから御郷の話は聞かなかったけどね」
「たぶん思い出すと辛いんだと思います・・・お互いに貧しい生活の中でも本当の姉妹みたいに接して来たので。
売られてから文通をしていて、手紙では私の身をいつも按じてくれていました、でもその手紙も最近届かなくなって・・・そしたら今度は私と炭治郎が口減らしでここに・・・」
「そう・・・ときと屋に売られたのも何かの縁かもしれないね」
「はい、聞かせてください。本当に須磨姉さんは足抜けしたんですか?私とても信じられなくて・・・」
「確かにね、私も須磨ちゃんが足抜けするとは思えなかったわ。しっかりした子だったもの・・・男の人にのぼせあがっている素振りもなかったし、だけど、日記が見つかって・・・そこには足抜けするって書いてあったの。
掴まったという話も聞かないから逃げきれていればいいんだけど・・・」
鯉夏の表情は本当に須磨のことを心配している顔だった、仲が良かったのだろう。
「そうですか・・・ありがとうございます、鯉夏花魁」
「いいんだよ、アンタも須磨ちゃんみたいにしっかりしてる子みたいだし、頑張るんだよ」
「はい」
鯉夏は『弟とこっそり食べなさい』とお菓子を手渡してその場を去って行った。
「霧香さん・・・聞き出すの上手いですね」
「うん・・・なんか自然とつらつらと言えてしまってたよ、ハハハ・・・」
自分でも正直ここまでできるとは思っていなかった霧香。
「でも、足抜けは鬼にとっても都合がいいですね」
「うん、喰い殺した後に本人の部屋に日記や書置きなんかを残しておけば、探しはするけど最終的には行方知れずという形になる。
本人はもう死んでいるから自分の正体を話されることない・・・でもこれだけじゃ動けない、もう少し様子を見よう」
「はい」
―――――――――――――――
その頃、天元の嫁の一人であるまきをが潜入している荻本屋でも動きがあった。
姐さん遊女がまきをのことについて話していたのだ、どうやらまきをは体調が悪くて部屋に籠っているらしい。
しかし医師を呼ぶわけでもなく、自ら病院に行くわけでもない。さらに籠ってから誰も姿をみていないそうだ。
「伊之助くん、まきをさんの部屋を見に行きましょう」
「おう・・・」
「あら?元気ないわね?」
「暑い・・暑いんだよ、服がっ!」
今まで自然の中で生きてきた伊之助にとって『建物の中で暮らす』、『着物を着る』などの生活は拷問に近かった。
幸い喋れはしたので乱暴な言葉遣いをしなければ揉め事は起こさないものの、潜入してから自分から話しかけるのは禁止とされていた。
「こんなの着続けたら感覚がおかしくなっちまうぜ・・・・」
「まあまあ、もう少しの辛抱よ~」
そう言っているうちに角を曲がった二人、すると部屋の前に食事が置かれている部屋を見つけた。
「あそこか!」
「ふ~ん・・・なんか妙な感じがするわね~、こう『ぬめっ』というか、全身に纏わりついてくるというか・・・」
「フン!開けりゃ分かるぜ!」
伊之助は襖を開けた。
「「!」」
中は酷い状態だった、壁、障子、畳にヒビや傷が入っており、家具も壊されているし、布団は裂けて中の綿が出てしまっている。
「何だ、こりゃ・・・」
「どうやらまきをさんは鬼と闘ったみたいだね」
その時、琴乃の髪を風が揺らした。
でも窓は空いていない。
しかし風向は分かる、天井裏だ。
「伊之助くん、天井裏よ」
「野郎!」
伊之助はうどんの入った器を投げつける。
ドンッ!
「「!」」
すると存在に気付かれた何かが天井裏を移動し始める、移動の音はとても大きく天井の板をギシギシ鳴らしている。
「逃がすかっ!」
伊之助は走り出した。
〈どこに行く!?どこに逃げる!?天井から壁を伝ってるのか?ならその瞬間壁をブン殴って引きずり出してやるぜ!!〉
しかし伊之助のこの判断が裏目に出た、なんと出合い頭の客の顔面を殴ってしまったのだ。