第32話 蝶屋敷人攫い騒動
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「うむ・・・」
「兄上、どうされました?」
手紙を読んで残念そうな杏寿郎にお茶を持ってきた千寿郎が問う。
「霧香は今、任務で屋敷を空けているそうだ。残念だが来訪はもう少し先になりそうだ」
「そうですか・・・」
千寿郎も残念そうだ。
「霧香さんも復帰してから徐々にお忙しくなりましたね、今回はどんな任務に行かれてるのでしょうか?」
「文には書いていないが・・・要、何か聞いていないか?」
『晴哉殿ハ「音柱殿ガツイテイルカラ大丈夫ダロウ」ト仰ッテイマシタ!』
「ん?」
要の言葉に固まる杏寿郎、自分が知る中で『音柱』は一人しかいない。
杏寿郎は数日前の天元とのやり取りを思い出していた。
「よお、煉獄!任務帰りか?」
「宇随か!ああ、今回も問題なく終えることが出来た!」
実は前回の任務の帰りに本部に報告に行った際に出くわしている二人。
「片目になったってのに頑張るねぇ」
「ハハハハッ!俺はまだまだ頑張るつもりだ!この視野にも慣れてきた、香炉家と那津蒔殿に感謝せねばな!」
そう、杏寿郎は手術と薬物投与の治療を受けてから那津蒔によって片目での鍛錬をしてもらったのだ。
最初は遠近感や距離感が掴みづらかったものの小さい任務の傍ら自らも精進したことで以前のように刀を振るえるまでに結果を出せたのだ。
「俺なら引退するがねぇ、お前はどこまでもお熱い奴だよ」
「ハハハッ!俺の心の炎は片目を失ったくらいでは消えない、むしろ以前よりも轟々と燃え盛っている!」
「ああ――っ!!わかった、わかったから熱弁すんなって!」
天元は『暑苦しい』とばかりに手をヒラヒラさせて杏寿郎の隣りを通り過ぎようとする。
「お前は何の用事で来たんだ?」
「お館様に直談判しにな」
「直談判?」
「ああ、遊廓に鬼がいるという情報が入ってから動いていたんだが・・・客として入り込むのに限界がきてな。
今は嫁らに潜入してもらって詳細を探ってもらっているんだ」
確か天元は三人嫁がいると言っていた。
『多いな』と思った記憶がある、自分は父と同じで本妻以外もつつもりはない。
その相手は今なら当然、霧香だと言い切るわけだが・・・。
「その嫁らと連絡が途絶えた」
「!」
破天荒な行動が目立つ天元ではあるものの自分と同じくらい責任感が強く、身内を大事にする男だということを知っている杏寿郎。
「そうか、行くのか」
「ああ、俺の嫁だからな。絶対捜し出す、誰一人死なせはしねぇ・・・」
ニッと笑って輝哉の部屋に向かう天元の後ろ姿は今も鮮明に覚えている。
しかしだ、その天元と霧香が行動を共にしているということは彼女もまた遊廓にいるという事になる。
杏寿郎はスッと立ち上がる。
「兄上?」
『杏寿郎様?』
「要、その任務は華陽隊の他の二人も一緒なのか?」
『ハイ、ソノヨウデス』
「千寿郎、俺もしばらく留守にする!家と父上のことは任せたぞ!」
「は、はいっ!」
要の言葉を聞くとそのまま屋敷から駆け出していった。
「千寿郎」
「あ、父上・・・」
そこへ愼寿郎がやってきた。
杏寿郎が帰ってきてから親子で話をする機会も増え、愼寿郎自身部屋に閉じこもることも少なくなった。
「今、杏寿郎がものすごい形相で出て行ったが・・・何かあったのか?」
「さあ・・・僕にもわかりません、今、霧香さんのついている任務について要に話を聞いていたんですが、急に兄上が立ち上がって屋敷を出てしまわれて・・・」
「瀬津寿の娘のついてる任務?」
「はい、何でも音柱様と任務にあたっているとか・・・しかし隊服も着ず、帯刀もせずに兄上は出て行ってしまいましたが大丈夫でしょうか?」
久しぶりに聞く自分の元同僚のことを聞いて愼寿郎も若干不安になったことは千寿郎には内緒だ。