第32話 蝶屋敷人攫い騒動
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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そして場所は移り、吉原・遊廓のときと屋。
「う~ん、そう言われてもね・・・最近新しい子を入れちゃったからね」
「そこを何とか頼めないかい?」
廓の主の『楼主』とその奥様が考え込む。
「この姉弟たち、いずれも親の借金やら口減らしで路頭に迷っててな。こっちとしても働き口を見つけてやりたいんでね」
「う~ん、どうする?お前」
「どうしようかね~?」
「頼むよ、女将さん」
『あともうひと押し』と確信した天元がニッコリと笑いかける。
「(ポッ・・・////)じゃあ、せっかくだから引き取ろうかね。でも全員は無理だから一組だけでもいいかい?」
「ああ、助かるよ」
「じゃあ、真ん中の子たちを貰おうかね」
「よろしくお願いします」
「一生懸命頑張ります!」
霧香、炭治郎―― ときと屋に就職決定。
「良かったわね、決まって」
「うん、二人も頑張ってね」
「ええ、ありがとう」
「じゃあな、二人とも」
「元気でな」
「・・・・(コイツ、こんな色男だったのか・・・なんか腹立つっ!)」
しばらくバラバラになるのでお互い別れを惜しみつつあったが約一名不満たらたらの善逸だった。
すると人々がざわつき始めた。
「ん?何だ?」
シャラン・・・シャラン・・・
炭治郎たちも騒ぎの中心に目を向ける、そこには綺麗に髪を結い、優雅な着物を着た女性が大勢のお供を連れて歩いてくる。
「綺麗だな・・・///」
つい見とれてしまう炭治郎。
「あれは花魁道中(おいらんどうちゅう)っていうんだよ」
霧香がこっそり耳打ちする。
「おいらんどうちゅう?」
「そう、あの真ん中でゆっくり歩いている綺麗な人が遊女の中でも最高位の『花魁』って呼ばれる人で・・・両脇にいるのが『禿(かむろ)』っていう子たちだよ、遊女の卵だね。
これから長い時間をかけて教養や芸を学んで『新造(しんぞう)』、『花魁』と位を上げていくんだよ」
「へえ・・・」
「そして花魁に肩を貸している人や傘を持っている人、その後ろで荷物を持っている人が妓夫だよ。炭治郎もああいう仕事をすることになるんだよ」
自分が実際やることになる妓夫もそうだが、炭治郎としては初めて見る花魁に胸がときめいていた。
「ありゃ、ときと屋の鯉夏花魁だな」
「え?ときと屋?」
「そうだ、つまりお前の姐さんになる花魁だ、失礼のないようにしろよ」
天元はそう言い含め琴乃やアカリたちを連れて去ろうとしたが・・・・。
「ちょいとそこの旦那」
「?」
振り向くと狐のように目が細い中年の女性が立っていた。
「何だい?」
「その背の高い娘、ウチで引き取らせてくれないかい?」
「私ですか?」
琴乃が自分を指しながら問う。
「そう!アンタだよ!あたしゃピンときたんだよ!アンタみたいな物腰柔らかそうなだけど肝の据わってそうな子は大物になるってね!
ねえ?旦那、いいだろう?金子もはずもうじゃないか!」
「奥さん、どこの人だい?」
「アタシは荻本屋の遣手(やりて)だよ」
「おおっ!荻本屋さんかい!こりゃありがたい!
あの目利きとして右に出る者はいないと評判の遣手の奥さんの目に留まったのであればこの娘も安心だろうよ!」
「そうだろう?そうだろう?」
「ところで、ついでと言っちゃなんだが・・・この小僧も一緒でもいいかい?
姉貴思いの弟でな、一緒じゃないと嫌だって聞かないんでね」
「ああ、いいとも!いいとも!ウチの妓夫として働いてもらうさ!」
そう言って身売り金を天元に支払い、さっさとその場を後にする荻本屋の女将。