「具体的には何を司る神ですか？」

〈何、普通に質問してるの？炭治郎？〉

弟弟子の天然さに目を見張る霧香。


「いい質問だ、お前は見込みがある!俺は『派手』を司る神・・・祭りの神様だ！」



あなたの頭の中が『お祭り』ということではなくてですか！？←華陽隊


「俺は山の王だ、よろしくな！祭りの神！」

『・・・・・・』←伊之助除く一同

「何言ってんだお前・・・気持ちの悪い奴だな」

伊之助（くん）もあなたにだけは言われたくないと思う！！←華陽隊


同じような次元に住んでる奴に対しては嫌悪感を抱く男・宇随天元。


「花街の道のりの途中に藤の花の屋敷があるからそこで準備をする、ついて来い」

それだけ言うとフッと去る天元。

「え？消えた！？」

「いや・・・既に遥か彼方だね、ほら」


霧香が指した方には既に豆粒の天元（の後ろ姿らしきもの）が・・・。


「あれが祭りの神の力か！」

「柱だから身体能力が高いだけだと思うわよ～？」

琴乃が善逸と伊之助を抱える、そして炭治郎を背負う霧香。

「あ、あの？霧香さん？」

「飛ばすから喋ってると舌噛むよ」

「！」



ビュウゥ―――ン！！



華陽隊も負けず劣らず速いのだった。


―――――――――――――――

「遊廓に潜入したら、まず俺の嫁を探せ。俺も鬼の情報を探るから」

「「「は？」」」

藤の花の屋敷に到着して打ち合わせをしているうちにポロッと天元が漏らす。

「とんでもねぇ話だ！！」

「あ"あ？」

「ふざけないでいただきたい！自分の個人的な嫁探しのために部下を使うとは！！」

「はあ？！おいッ、何を勘違いしてやがるッ！」

「いいや、言わせてもらおう！
アンタみたいな奇妙奇天烈な奴はモテないでしょうとも！！
だが、しかし！！鬼殺隊隊員である俺たちをアンタが嫁が欲しいからって遊廓に潜入させん・・・ぶがっ！！」

「話が前に進まないから黙ってなさい、善逸」

善逸の後頭部を殴ったアカリ。

「宇随様、どういうことか詳しく聞かせてください」

「俺の嫁が遊廓に潜入してるんだよ、鬼の情報を探るためにな。
だが定期連絡が途絶えたんだ、それで俺が出向くんだよ」

ドンッと目の前に鎹鴉経由で届いた手紙の束を出す天元。

「こんなに？」

「さすがに多すぎる・・・もう潜入されてから長いんですか？」

「いや、人数が多いんだ。三人いるからな」


「「「・・・・は？」」」


さらりと言ってのける天元に目が点の華陽隊。

「あの、三人って何がですか？」

「嫁がだよ！俺には三人嫁がいるんだよ！」



「さ、三人ッ！？嫁が、さ、三人！？テメッ・・・テメェッ！！なんで嫁が三人もいんだよ！ざっけんなよッ！！」


ドゴッ！！

「善逸くーん！？」

天元に鳩尾を殴られKOの善逸。

「他に文句がある野郎はいるか？」

その言葉に『あります』と言えるやつがいるだろうか・・・。

「その～・・・奥様たちは潜入されているんですよね？もしかして奥様たちも宇随様と同じく忍び、つまりくノ一ということでしょうか？」

「おお、察しが早いな。
そうだ、俺は花街に鬼が潜むには絶好の場所だと思ったが、俺が客として潜入した時は鬼の尻尾は掴めなかった。
だから客よりももっと内側に入ってもらったわけだ」

「そういうことか～」

「何ですか？琴乃さん」

「う～ん、くノ一っていう人たちは色を武器にすることもあるのよ、だから『そういう訓練』も受けてるのよね～」

琴乃は手紙を一通手に取り読み始める。

「文面も綺麗ですね、それに自分のことをあなたが心配してくれているのもわかっていらっしゃるようですし、それについても一筆加えてある。三人の奥様たちを分け隔てなく愛されている証拠ですね～、とても素敵ですわ～」

満面の笑みで見ると恥ずかしいのか頬をポリポリ掻く天元。