間章 無限列車の少女
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ねえ、もし行くところがないならウチで働かない?」
「え?」
困っていることが表情に出ていたのだろうか、またしゃがみ込んで話しかけてくる。
「実はね、私の伯父が最近亡くなって伯母が一人になってしまったの。子供もいなくて寂しそうにしているのを父が心配していて・・・ももちゃんさえよければ伯母さんと一緒に暮らしてもらえないかな?」
「でも・・・いいんですか?私、外の人間ですよ?それに私、一度は売られた人間で・・・」
「もちろん、一族のことは無暗に人に話さないこと。最初は戸惑うこともあるだろうけど、それは伯母さんと暮らしながら覚えていけばいいよ。
人買いに支払うお金は私がどうにかする、どうかな?」
『内緒』の仕草をしながらニッコリ笑う霧香、ももは申し訳なさそうにするが行く宛てもないので頷いた。
それからはとても早かった。
霧香はももと一緒に彼女が売られた、人買いの所に赴いた。
そして(霧香がこれまで貯めたと思われる)大金を積んで『ももを買い取る』と申し出たのだ。
人買いの男は『逃げ出した利子』だのなんだの言って金の上乗せをもくろもうとしたが、霧香の目力に圧倒され、念書を強制的に出さされ、確認を取られ、身売りされた日付と無限列車にいた時の期間が短期であったことで失敗した。積まれた金額も身売り金の二倍ほど多くあったので有無は言わさず念書ともども引き取った。
「さて、これで人買いについては解決!次は伯母さんのところに行こう!」
そして海野家の畑に隣接している庵に向かった。
「伯母さん!」
「あら、霧香ちゃん、いらっしゃい」
霧香の伯母、瀬津寿の兄の妻はとても穏やかな人だった。
瀬津寿は元々男兄弟がもう二人いて、その二人とも『種』としてここに送られたのだ。
でも不本意というわけでもないので兄弟間で不仲になることもなかった。
「さあさ、入って頂戴。今、畑がひと段落したところなのよ。
この間、ご当主が持って来てくれたお菓子があるからお茶にしましょう。さあさ、あなたもお入りなさい」
伯母はももも一緒に招き入れた。
「は~い、どうぞ」
お茶と茶菓子を持ってきて座る。
「わざわざすいません、伯母さん」
「いいのよ、それで今日はどうしたの?」
「実は、この子のことで窺ったです」
ももを紹介する霧香。
「伯母さん、伯父さんが亡くなって寂しくなったと思います。ももちゃんも両親を亡くして身寄りがないそうなんです、ここで農作業を手伝わせてくれませんか?」
「お願いします!」
ももが頭を下げるので霧香も頭を下げる。
「あらあら、いいのよ!頭を上げて頂戴!
こんなに私のことを心配して・・・瀬津寿様辺りかしらね、あの方は昔から聡い方だから。嬉しいわ、ありがとう」
鼻をスンと鳴らして笑いかけてくる。
「霧香ちゃん、是非ももちゃんを私のところでお世話させてくれないかしら。
なんだったら養子として引き取っても構わないわ」
「本当ですか!?」
「ええ、もちろん」
二つ返事で受けてくれた。
「よかったね、ももちゃん。もう一人じゃないよ、それにここなら鬼に怯えることもない」
「はい!よろしくお願いします!」
こうしてももは海野家の『種』として暮らすことになったのだ、定期的に見に行くこととさらに近況を伯母に手紙で伝えてもらうようにお願いした。
「それじゃあ、頑張るんだよ。ももちゃん」
「はい、ありがとうございます、霧香さん」
時刻は夕暮れ時、霧香は屋敷に戻るため立ち上がる。
「ももちゃん、はい」
目の前に小指を出す。
「俗世からここに慣れるのは大変だけど、これだけは約束ね。
『私はももちゃんを一人にしない』、『ももちゃんは家族として海野家を大事にすること』、指切り!」
指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます―――
約束事の歌を歌って互いに契りを結んだ。
「頑張ります!私、頑張ります!」
ももの顔はとてもいい顔になっていた、安心して霧香は屋敷に戻った。
『霧香!霧香!任務ッ!任務ッ!ココカラ北西ニ鬼ガ出タ!スグニ向カッテ!』
「個別任務?」
『ソウ!個別任務ッ!』
牡丹の知らせで任務の指令が伝えられた。
〈小さいとはいえ最近増えてきたな・・・まあ、いい運動になるし、行くか!〉
鬼殺隊の隊服、雪華紋の羽織を身につけ、腰に日輪刀を挿し、霧香は今日も任務に向かう。
続く