間章 無限列車の少女
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「うん、それが分かって途中で止めることができたんだから、それで良いんだよ。
ももちゃんも私も炭治郎も煉獄さんもみんな助かった、だから謝るのも、責めるのも終わり!
お互い、自分の命があることに嬉しく思い、感謝しよう?」
「グズッ・・・はい、ありがとうございます・・・」
鼻をすすりながらお礼を言うもも。
「うん!じゃあ、落ち着くためにお茶飲もう!冷めちゃうしね!」
「はい・・・いただきます」
少しずつお茶を啜り、茶菓子を食べる。
「ところで・・・」
ふと疑問に思ったので霧香はあることを聞いてみた。
「どうして謝りに来たの?海野家にもどうやって来れたの?」
「あ、それは・・・」
ももは霧香の夢の中のできごとを話した。
「ああ・・・なるほど」
頷いた霧香はももをある部屋に案内した、そこは海野家の先祖の水墨画や肖像画を飾ってある部屋だ。
「あの・・・ここは?」
「私の家の御先祖様の肖像画を保管している部屋だよ、部屋といっても離れにあるから、もう独立した建物みたいになってるけどね」
霧香は肖像画の前を通り過ぎると木造の大きな箱の前で足を止めた。
そして両開きの造りの扉を開けた。
「!」
中には掛け軸があった、描かれているのは女性だ。その姿に見覚えがある・・・自分を止めてくれたあの女性だ。
青い扇を持ち、白い衣を揺らめかせ、こちらに微笑みかけている。
「この人です!この人に私は止めてもらったんです!」
ももの表情を見て霧香も納得したようだ。
「誰なんです?この人は?」
「私たち海野家の始祖の一人、滝夜叉姫様だよ」
「え?」
彼女は『始祖』と言った、それは一族の始まりの人物。彼女のずっと昔の先祖ということになる。
「驚くよね、無理もないよ・・・私たち五大呪術家は安倍晴明と妖との間に生まれた子供たちが初代の一族なんだよ。
海野家の他にも四つ家がある、その家にも『一族の母親』となる妖がいる。
安倍晴明は一門の全体の『父』でこの人は海野一族の『母』。
よく『ご先祖様が見守ってくれている』って言われるでしょう?その言葉の通り、我が一族は代々守られているんだよ、一族の母の滝夜叉姫様に・・・ご先祖様のご加護ってものかな」
「ご先祖様のご加護・・・」
無意識の領域でしか会うことは叶わないが、彼女は・・・滝夜叉姫は霧香の事を『私と清明の愛しい子』と言っていた。
あれは『子供を想う母親の顔』だった、自分の腹を痛めて生んだ子供だけでなく、その子孫たちをこの時代に至るまで見守り続けてきたのだ。
「あの・・・」
「ん?」
「霧香さんも妖ものなんですか?」
「うん、血縁上はね。でも代を重ねていくうちに徐々に妖の姿が体の表面に出ることはなくなった。
でも能力はまだ残っている、体が覚えているんだろうね。『水』の能力は今も海野家の鬼狩りたちが使用している、この能力は『母』が授けてくれた宝だから、ずっと繋げていくよ」
強い、この人は心の強い人だ・・・いや、半人半妖であることでたくさんのことに堪えて来たからこそ強い心が持てたのだろう。
先祖が耐え忍び、鍛える心を受け継いでいる証だ。
「こんなことを言うのはおかしいかもしれませんが・・・入り込んだ夢があなたでよかったです」
「うん?」
「あなたの夢を見ました、あの眠り鬼が引き出したあなたの辛い過去の夢を・・・でも、その中であなたのお姉さんと鬼にされた人間の絆を見ました。
私は鬼に両親を殺されて、ずっと憎んでいました・・・・でも、酷いことをする鬼ばかりじゃないんだって!鬼にも『人間のように心を持つ鬼』もいるんだって!思えたんです!」
「そうだよ」
ももの肩に手を置く霧香。
「彼らは元々人間だよ、それに自分で望んで鬼になった者が全てじゃない。
望まず鬼にされ、支配に苦しんで、人を喰らうしか残されなかった者も多い。私たちは同じ人ならざる血を継いでいる者としてそんな鬼を救いたいと今まで頑張って来た。
これからも変わらないよ、悪鬼には斬ることで救い、善鬼は償いの機会を与えて救う。
って、ちょっと偉そうに聞こえたよね。綺麗ごとだって言われてしまえばそれまでなんだけど・・・」
「そんなことないです!それが人も鬼も救うことになっているなら私はそれでも構わないって思います!」
悲し気に笑う霧香に全力で首を横に振ったもも、それは同情ではなく本心だった。
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「今日はありがとうございました」
ペコリと頭を下げたもも。
「ううん、こちらこそ我が家に来てくれてありがとう。でも、ももちゃんは今後どうするの?
「・・・・・」
ももは黙ってしまった、実は今まで香炉家の療養所で治療をしながら世話になっていていたのだ。
でも傷が完治した後はどうしようかと思っていた、自分に両親はいない。さらに自分は人買いのところから逃げ出した身だ。
まだ十二歳のもも、働いて生きていくにしても難しいだろう。