間章 無限列車の少女
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「霧香様」
「ん?」
それはある日の昼下がり・・・屋敷使いの式神が霧香の部屋にやってきたことから始まった。
「どうしたの?」
「実は・・・屋敷の周りを少女がうろうろしていて」
「少女?」
「・・・・・・(汗)」
門の方へ向かうと確かに十二、三歳くらいの少女が困ったように佇んでいる。
「あの・・・」
「!」
霧香が声をかけると少女は肩を跳ねさせる。
「どうかされました?我が家に何か用事でも?」
「あ・・・あ・・・」
少女は霧香の顔を見て少し震えている、しかし霧香にこの少女との面識はない。
「あの・・・えっと、私・・・」
なかなか言い出せずにいる。
「・・・・・」
すると霧香は少女の前にしゃがみ込む。
「大丈夫」
「・・・・っ」
「ゆっくりでいいから、話してみて」
少女は少しもじもじしていたが深呼吸をして話し始めた。
「私、ももと言います・・・あの、無限列車であなたの夢に・・・」
そこまで聞いた時、霧香はピンときた。
炭治郎から猗窩座と対峙する前に襲って来た下弦の壱・魘夢によって眠りに落とされ、攻撃されたことを聞いていた。
そして自分の夢に入り込んできたのがまだ年端もいかぬ少女であり、その少女が他の仲間を止めてくれたことを・・・。
「そうか、君が炭治郎や私たちを助けてくれた子なんだね」
「つっ・・・私、あの・・・!」
また肩を跳ねさせてしどろもどろになるする『もも』と名乗った少女。
「まあまあ、そう固くならないでいいよ。
こんなところで立ち話もなんだから中へどうぞ」
そう言うと近くに控えていた式神にお茶を頼む霧香。
「え!?あ、あのっ・・・!」
「いいから!いいから!入って!」
少女の手を引いて屋敷の中へ招き入れる。
コト――・・・
「さあ、どうぞ、召し上がれ」
「・・・・・」
客間に通してお茶と茶菓子を出す霧香、立て込んだ話になりそうなので式神には退室してもらった。
「『もも』ちゃんっていったね?」
「は、はい!」
「そんなに緊張しないで、君の事は炭治郎から聞いてる」
「たんじろう?」
「君が仲間から救ってくれた市松模様の羽織を着た男の子だよ」
ももは誰のことかわかったようだ。
「下弦の壱に操られた仲間から助けてくれてありがとう、あなたがいなかったら炭治郎や私たちは生きてはいなかった」
「っ・・・」
すると、ももは大粒の涙を流した。
「お礼なんて・・・私っ、言われる資格ありません・・・っ・・・!
私はあなたの精神を壊そうとしたんですっ、あの場にいた私を含めた仲間は自分の意志で鬼に協力したんです、同じ人間なのにっ・・・あなたや皆さんを殺そうとしたんです!
自分が幸せに夢を見たいがために・・・自分が心地いい思いをしたいために他人を犠牲にするところだったんですっ・・・」
俯く彼女の目から落ちた涙が膝の上に握り締めていた手の甲を濡らす。
「ごめんなさいっ・・・本当に、ごめんなさいっ・・・!」
「・・・・・」
肩を震わせて泣くもも。
「確かに『自分の幸せのために他人を犠牲にすること』は良い事じゃない、故意に他者を犠牲にした先に幸せなんてないと私は思ってる」
「っ・・・はいっ・・・」
「でもね、犠牲にしてでも幸せを掴みたい気持ちがあるのは人間として仕方のないことだと思う。
実際、その気持ちがまかり通ってしまう世の中なのも事実・・・だけどね、それって長くは続かないと思う」
「つっ・・・」
「ももちゃんは、もし止めることなく私たちを殺して、幸せの夢を見終えた後・・・心から幸せだと感じられる?感じ続けることはできる?」
「っ!!」
ももはブンブンと首を横に振った、目先の幸せを得たからといって、その後も自分が幸せを感じられたかと聞かれれば、ないだろう。これはっきり言える、所詮は鬼に利用されたのだ。
魘夢が自分たちをどう思っているのか、そんなことは今考えれば分かり切っている。