間章 希望と意志
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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スッ――・・・
すると琴乃が立ち上がったかと思うと庭先の岩の前で止まる。
「スウゥ――・・・フゥ――・・・」
深呼吸したかと思うと・・・。
ゴシャッ!!
「!」
拳一突きで岩を砕いてしまった。
「悲鳴嶼様・・・それ以上言うと怒りますよ?」
「む・・・」
ニッコリ言ってはいるものの目が笑っていない。
「せっかく気持ちを言ってくださったので私もぶっちゃけるといたしますね~。
私はあなたに対して『恨み』や『妬み』などの思いは・・・いっっっっっっっっっっっっさい!ございません!」
「そ、そうか・・・」
「はい~!兄の笙もそのような気持ちはいっっっっっっっっっさい、持ち合わせてはおりません!!」
自分もそこそこ力は強いつもりだが琴乃の・・・というより黒鉄家の『剛力』の力を目の前にして驚いている悲鳴嶼。
「逆に私は感謝しています、あなたに」
「?」
「兄は自分には剣士としての才能がないことに早く見切りをつけて陰陽術の修練に励むことを選んだんです。
幸いと言うべきか・・・祖父には娘しかおらず、本来ならば私たちの従兄が継ぐはずでしたが早逝してしまったので兄が戻ることになったんです。
それで兄が戻って来る際に篠熊師匠にお話をしていてくださったので私は新しい才能に目覚めることができたんです。
言い換えてみれば、兄が私を篠熊師匠にお話してくれるきっかけをくれたのはあなたなんですよ?」
「わ、私がか?」
「はい~!岩の呼吸は基本の五つの呼吸の中で最も力強いものです、それを身をもって体験したことと、悲鳴嶼様が恵まれた体格とその怪力でメキメキと実力を付けられたからこそ『琴乃(私)にも岩の呼吸を教えることができたら』と思えたのだと思います」
パンパンと両手を叩いた琴乃は桶に残っていた水で軽く手を注いでからまた食器を洗い始めた。
「おかげで私は自分の呼吸を生み出すことが出来、鬼殺隊に入ることが出来ました!
変だと思われるかもしれませんが・・・私は今、とても幸せです、だって・・・今まで何も成しえないと思っていたのに、ここまで自分の力で達成することができたんですもの!」
「!」
『自分の力で達成することができた』と言った時、悲鳴嶼の方に満面な笑みを向けた琴乃。
悲鳴嶼は盲目ながらもその笑顔が見えた気がした、花の弾けた花火のような明るい笑顔が・・・。
「ですから、悲鳴嶼様・・・兄のことも私のことも負い目を感じないで下さい。
でなければ私はとても悲しいです、そして兄の『剣士としての願い』を共に背負っていただいてありがとうございます。
兄は本当に良い御友人に巡り合えたと思います、私にも今後はその兄の『願い、思い』を共に背負わせてくださいね」
「・・・・・そうか、ありがとう」
悲鳴嶼はフッと微笑むと琴乃の頭を撫でた。
「お前は私のことを『兄にとって良き友人』と言ったが、笙にとってお前は『良き妹』だ。
そしてこれから私にとっても良き味方となることだろう」
「ふふふ・・・はい、期待していてくださいな」
「フフフ・・・」
少し不穏な雰囲気はあったものの最後は笑顔になった二人。
そのまま洗い物を済ませて中に戻ったのだった。