間章 希望と意志
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「くっ!」
「遅いわよ!本当に体力戻ってるんでしょうね!」
「つっ・・・戻ってるよっ、これでも!!」
目覚めてから数日休んで蝶屋敷で機能回復訓練を行うことになった霧香。
柔軟から入り、反射神経の回復、組手、そして最後は香炉家までの帰路を全集中の呼吸でのマラソン。
ちなみ最後のマラソンを提案したのは那津蒔である。
那津蒔曰く・・・
「回復訓練しても実践で使えなきゃ意味ないからな、香炉家は海野家ほど離れてないから走って帰ってくることくらいできるだろ」
五大呪術家で一番蝶屋敷や産屋敷家に近いのは順に香炉家、岩倉家、海野家、焔家、黒鉄家である。
といっても海野家、焔家、黒鉄家は隣接しているので他の二家に比べると蝶屋敷へは同じくらいの移動距離。
そして今日はアカリや琴乃も訓練に付き合ってくれて今は道場で組手をアカリとしているところだ。
「炎羅門・炎拳(えんけん)!」
「波流門・水紋波(すいもんは)!」
アカリの拳の突きと霧香の回し蹴りがぶつかる。
「「っ・・・」」
「うむっ!見事な競り合いだ!」
「「!」」
そこに聞き慣れた声が聞こえる。
二人が振り向くと杏寿郎の姿がある。
「杏寿郎様っ!」
アカリが嬉しそうな声を上げる。
「精が出るな!二人とも!」
道場の中に入ってくる。
蝶屋敷での機能回復訓練を行い始めてから回数は少なくなったものの杏寿郎は時間を見つけてはこうしてやってくる。
体調は万全のようで任務も再開しているようだ。
しかし今回来たのは杏寿郎だけではなかった。
「こんにちは・・・」
「邪魔をするぞ」
なんと霞柱の時透無一郎、岩柱の悲鳴嶼行冥も一緒だ。
「何故、時透様と悲鳴嶼様が?」
「何?来ちゃいけないの?」
無一郎の若干キツい物言いにムッとしたアカリだが相手は柱だ、滅多なことは言えない。
「いいえ、そんなことはございません。
ですが、最下級の剣士の様子を見に来るなど柱のされることではないと思いまして」
「しのぶさんはしてる」
「あの方は医者です」
「煉獄さんに誘われた」
「そうなんですか・・・って、えええェェ!?」
「うるさいな、君・・・」
眉間に皺を寄せる無一郎。
「私たちは煉獄に『君の見舞いに行くので付き合ってほしい』と言われたのだ」
「まあ、僕たちも無限列車のことは気になっていたから、ついでにね・・・」
〈ついでなのか・・・〉
無一郎の興味のなさに少々苦笑いをしたが口には出さない霧香。
「二人とも、そろそろ休憩しない?」
そこへ琴乃と千寿郎がやってきた。
「千寿郎くん、いつもありがとう」
「いいえ!僕もお世話ができてうれしいです!」
お茶を持って来てくれたようだ。
「さあ、縁側で座って食べましょう」
みんなで縁側に腰を下ろす。
「今日はおはぎを持って来てくださったのよ」
重箱を開けると小豆にきな粉、ずんだなど色とりどりのおはぎが詰めてある。
「「うわ~っ!」」
アカリと霧香の目が輝く。
「不死川からだ、あいつの選ぶおはぎは美味いぞ」
「え?」
悲鳴嶼の言葉に一瞬言葉が詰まった霧香、不死川実弥・・・忘れもしない裁判の日の行い。
禰豆子を傷つけ、飢餓状態の響凱にひどい言葉を浴びせた凶悪な性格の持ち主。
「あんなことをした後のことだ、不死川のことを訝しんでもおかしくはない・・・だが、根はいい奴なのだ。
ただ態度や言葉が乱暴なだけなのだ、お前のことを聞いた時、顔には出さなかったが心配していたぞ。
ここにはお前へしたことに少なからず申し訳なさを感じているからこそ来れないのだろう。
私に重箱を押し付けて『あいつに渡してやってくれ』と言って去って行った」
「・・・・」
「あいつの気持ちを受け取ってやってくれないか?」
おはぎをじーっと見ている霧香だったが一つを箸でつまんで皿に乗せる。