第31話 温かい人
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「千寿郎、遅くなってすまない」
「兄上!」
そこに頃合いを計って杏寿郎が入ってきた。
「煉獄さん、こんにちは」
「ああ、こんにちは!今日も体調が良さそうだな!」
「はい、おかげ様で」
「うむ!何よりだ!」
杏寿郎はニッコリ笑った。
「ぼ、僕・・・ちょっと出てきます」
千寿郎は手ぬぐいを持って病室から出て行った。
「どうしたのだ?千寿郎は?」
「私が頼み事をしたので行ってくれたんですよ、本当にいい子ですね」
「うむ!自慢の弟だ!」
その顔は本当に誇らし気だ、千寿郎の事を心から信頼し、愛しているのだろう。
「煉獄さんの体調はどうですか?
目の方について何かお医者様は仰っていましたか?」
「体の方は問題ない、機能回復訓練も欠かさずに続けている」
「そうですか、よかった」
「しかし・・・」
左目を覆っている包帯に軽く触れる。
「片目になってしまったから遠近感がまだ掴めなくてな」
「・・・・」
「医者からは左目は『もう視えないかもしれない』と言われた、あれだけ強い拳を受けたのだから仕方のないことだが・・・」
「そんな・・・」
杏寿郎は霧香に笑みを向ける。
「君のせいではない、むしろ感謝をしたい。
俺の命がこうして繋がれたのは君と君の家族のおかげなのだから・・・ありがとう」
そして杏寿郎は決意したあることを霧香に伝えた。
「海野少女」
「はい?」
「今から君のことを名前で呼んでもいいだろうか?」
「・・・・・」
しばらく硬直した。
「どうしたんですか?いきなり・・・」
「うむ!俺たちは今や同じ鬼と闘った者同士だ、これからは名前で呼びたいと思う!」
「な、なるほど・・・」
確かに今回の無限列車の任務で距離が近くなった、杏寿郎がそう考えることもわかる。
「わかりました、煉獄さんがそう思っているのなら呼んでいただいて構いません」
「そうか!では、早速呼ぶことにしよう!霧香!」
「!」
「どうした?」
「・・・いえ、別に」
急にそっぽを向いた霧香を不思議そうに見る杏寿郎。
「気にしないでください・・・ホントに・・」
「むむっ・・・気にするなと言われても顔を背けられたらそういうわけにもいかん」
「いや、ホントに気にしないでください・・・今、少し・・・顔が・・・」
「もしや!体調でも悪くなったか!?」
両肩を掴んで自分の方に霧香を向けさせる杏寿郎。
「!」
「っ・・・////」
霧香の顔はリンゴのように真っ赤だった。
「見ないでください~~~っ!ホントに!ホントに!」
両手で顔を覆ってしまう霧香、どうやら名前を呼ばれたことが恥ずかしくて、真っ赤になった顔を見られたくなくて顔を背けたようだ。
「ごめんなさいっ・・・兄以外の方に名前で呼ばれることが少ないんです!
炭治郎や年下の男の子たちは『さん』付けするし、師匠は養父みたいなもので、響凱は家族だから、こんなことにはならないんですけど・・・・煉獄さんは兄以外で唯一、長い期間を共にした男性なので・・・ごめんなさい」
顔を覆っているためか少しこもった声を出す霧香。
〈ああ、もう限界だ・・・瀬津寿殿、すまない〉
心の中で瀬津寿に謝罪しながらそのまま霧香を抱きしめた杏寿郎。
「!?」
突然のことで驚く霧香、彼の温もりが全身から伝わってくる。