第31話 温かい人
名前変換
この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
詳しくは設定、注意書きをお読みください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うわあああぁぁ~~~んっ!!霧香さ――んっ!!よがっだ~~~っ!!」
「ムヴヴゥゥ―――ッ!!」
「えっぐ!えっぐ!!ほんどによがったっ・・・おれ、あのぎずみだどぎ、もう・・だずがらないんじゃないがっで・・・!!」
「うおおおぉぉ―――っ!!」
病室で泣いている炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助。
「あの・・・四人とも、分かったから少し声量下げようか。他の患者さんに迷惑だからね?」
「むりでず~~~っ!!」
「下げよう、今、戌の刻(午後七時から九時の間)だから」
良い時間で早い人は眠っている時間だ。
いくら離れた病室だからと言ってこれだけ騒いでは迷惑だろう。
一番は泣き止んでくれることが良いのだがそれはまだ時間がかかりそうだ。
今回は杏寿郎から『霧香の目が覚ました』と聞いた炭治郎から『一度会いに来たい』と文が届いたので日付と場所、案内人のことを書いて返信した。
時間は禰豆子を連れて行きたいと言われたので夜にしたわけだが、ここまで号泣されるとは思っていなかった。
考えてみれば無理もないのだが、杏寿郎に聞いたところ無限列車の任務が終わってから二カ月は過ぎているというのだから。
それに自分は瀕死の重傷で手術後の経過は不安定な部分もあり、意識を取り戻す確率が五分五分だったそうだ。
そりゃあ、四人も心配するだろう。
しかし、これは泣き過ぎだ・・・みんな、あまりにも涙がひどいので香炉家の人が持って来てくれた手ぬぐいがびっしょりである。
「心配かけてごめんね・・・でも、炭治郎が早く呼んでくれたから助かったんだよ。ありがとう」
「いいえ!俺は何もじでないでずっ・・・なづじざん(那津蒔さん)が前もっで香炉家の人だぢを呼んでぐれだみたいで・・・それで、霧香ざんも、れんごぐざん(煉獄さん)もだずげるごどがでぎだんでずっ・・・!」
鼻声交じりに答える炭治郎。
〈そっか、兄さんが・・・〉
迅速に動いてくれた我が家の兄弟にも感謝だ。
「炭治郎、禰豆子ちゃん、善逸くん、伊之助くん、それでもあなたたちがいたことで助かったのは事実だよ。本当にありがとう・・・」
そういうとまた泣き出した四人、収拾がつかなくなってきている。
「炭治郎」
そこへ声をかけてきた人物が一人。
「あ・・・うろごだぎざん・・・」
そう二人の師匠である鱗滝だ。
「もうじき亥の刻になる、そろそろ蝶屋敷に戻るといい」
酉の刻(午後七時近く)に来たが、もうそんな時間とは・・・霧香の様子を見る事と号泣で終わってしまった。
「もう少し経てば霧香も自身で蝶屋敷にいけるようになるだろう、話はその時にするといい」
「グズッ・・・そうですね、そうします。じゃあ禰豆子、帰ろう」
「ムー!」
炭治郎は禰豆子の手を引いて歩き出す。
「善逸くんも伊之助くんも今度またゆっくり話そうね」
「はいっ・・・絶対話、しましょう!」
「おう!その時はもっと強くなっていてやるぜ!」
四人は鱗滝に挨拶して病室を後にした。
「師匠、ありがとうございました。あの子たち収拾がつかなくて・・・・」
「無理もない、お前のことが心配だったのだろう」
鱗滝は椅子に腰かけた。
「ええ、それは大変申し訳なく思ってます」
「わしも気が気ではなかったぞ」
「はい、師匠にもご心配をおかけしました。申し訳ありません」
「・・・まあ、無事に意識が戻って何よりだ」
鱗滝のゴツゴツした手が霧香の頭を撫でた。
「上弦の鬼と渡り合うとは、ここ数ヶ月でより成長したな」
「師匠の教えの賜物です、感謝しております」
自分は狭霧山での鱗滝との鍛錬を場所や人は違えど継続していただけだ。
それが上弦の鬼の猗窩座とやり合えた、それだけだ。すべては鱗滝の指導が正しかったからだ。
「いいや、わしだけの力ではここまで成長はしなかっただろう。お前の努力の賜物と言って良い、お前はわしの自慢の弟子だ」
「師匠・・・」
照れ臭くなってきた霧香。
その後、少し話をしてから鱗滝は帰っていった。
ここ数日は意識を取り戻したため多くの面会者が来ている、明日も誰かが来るかもしれないので休めるうちに休まなくてはと霧香は気持ちを落ち着けて眠りについた。