第30話 太陽が見えた
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「おかあさん、おじいちゃんはどこにいっちゃったの?」
『死』というものがまだ理解できなかった自分は祖父が亡くなったことがわからなかった。
とある日に母に幼い自分は聞いたそうだ。
『おじいちゃんがどこにもいないの、どこにいっちゃったのかな?』と、それを聞いた母はどう答えたものか迷ったそうだ。
そしてこう答えた。
「お祖父ちゃんはね、お空が綺麗な山にいったのよ。ちょっと長い時間になっちゃうけどいい子で待ってようね」
『お空の綺麗な山か・・・安岐さんらしい』
息子の嫁のことを思い出して笑う、祖父としては良い嫁が息子に嫁いできてくれたと思ったのだろう。
『それで・・・その姿をしているということは、お前は『鬼殺隊』に入ったのか』
「その姿・・・」
自分の服を見る日輪刀は持っていないが支給された隊服と兄と姉からもらった雪華紋の羽織を着ている。
『晴哉の代ではお前が選ばれたのか・・・一番、無邪気で明るかったお前がな』
祖父は霧香の頭に手を置いた。
『私が死んだ時は膝の間に収まるくらい小さかったのが・・・・こんなに大きくなったか』
うんうんと頷いてポンポンと撫でてくる。
『安岐さんに似てきたな、嫁いできたばかりのあの人にそっくりだ』
笑いながら撫で続ける祖父、それほど成長した孫に会えたのが嬉しいのだろう。
二人はその後、川の近くに腰を掛けた。
『鬼殺隊はどうだ?』
「うん、最初はつらかったけど・・・今は隊士になって良かったと思う」
『死と隣り合わせの危険なことであってもか?』
「うん、私が隊士になったことで良いことがたくさんあったんだ。
仲間や可愛い弟弟子にも巡り合えた、最高の使役鬼にも出会えた」
『弟弟子もできたのか』
「うん、その子ね・・・妹が鬼舞辻のせいで鬼にされちゃって、その妹を人間に戻すために鬼殺隊に入ったんだ。
でも鬼に対して『憎しみ』だけじゃなくて『悲しみ』や『憐れむ』心も持っている優しい子なんだ」
『そうか・・・五大呪術家以外にもそんな子がいたのか』
「だから一層『可愛い』って思うんだ、同じ鬼の家族を持つ子だから」
『へへへっ』と照れながら笑う霧香を見て微笑んでいる祖父。
『良い巡り合わせだったんだな』
「うん!」
『それで?コレの方は良い出会いはないのか?』
親指を上げる祖父。
「なっ!何言ってるの?お祖父ちゃん!?」
急に那津蒔みたいな口調になってきた祖父。
『その反応は・・・自覚がないのか、それとももうちょいか』
やはり自分たちの祖父、晴哉と那津蒔を足して二で割ったような感じだ。
『お役目がない時はこういう性分だ、お前は小さかったから覚えちゃいないだろうがな』
「ううん、父さんが家にいる時に言ってる言葉とよく似てる」
『そうかい、そうかい・・・で?その相手は誰だ?』
ガクッ・・・
やっぱり話は逸らせないかと観念した霧香。
「まだわからないんだ、その人が好きかどうか・・・」
『だが、心が動くんだろ?お前のことだ、晴哉や那津蒔といった兄以外の異性とそんなに長い間時を過ごしたことはないだろう?
勇翔は椛に惚れている、お前も『もう一人兄が出来た』くらいにしか思ってないだろ?』
「うん」
やっぱり空から見ていたのだろうか・・・よくわかっている。
『その男はどんな奴なんだ?』
「そうだな~・・・」
ゴロンと横になった霧香。
真上には太陽が輝いている、とても明るく暖かい太陽が・・・。
「『太陽』みたいな人・・・かな?」
『太陽?』
「うん。明るくて、真っ直ぐで、正義感が強い・・・でも、可愛い」
『可愛い?男がか?』
霧香の脳裏にさつま芋ご飯を頬張っている時の杏寿郎、畑で土だらけになって笑っていた杏寿郎、鬼と勇ましく戦っている時の杏寿郎が思い出される。
『・・・・やっぱり、お前はまだこの先には行かせられんな』
「え?」
『お前、今の顔を川で見てみろ』
そう言われて水面に移る自分の顔を見てみる。
『その太陽のような男のことを思い出して『恋をする女』の顔になってる・・・』
色恋沙汰の経験がない自分にも何となくわかった、今の自分が『女の顔』をしている。
「私・・・」
『ようやくわかった心だ、無駄にするのは祖父としても心が痛む』
すると祖父の耳に何か聞こえてきた。