第30話 太陽が見えた
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「うん、大丈夫ですね。今日からご自分の御屋敷に戻っていただいても問題ありません」
しのぶの診察結果に表情が明るくなる千寿郎。
杏寿郎が蝶屋敷で目覚めてから早一か月が経とうとしていた。
最初は自分の体がまだ治りが万全でないため動くのは我慢していた杏寿郎だが薬(思いきり苦い)を毎日服用し、休んだ結果、半月で自力で動けるまで回復し、機能回復訓練で体の訛りを取ってから現在にいたる。
「うむ!世話になったな、胡蝶!」
「治ったといっても無茶は禁物です、もう数日任務は休んでくださいね。お館様には私からお伝えしておきます」
「うむ!承知した!」
「兄上!良かったですね!」
「ああ、千寿郎も毎日見舞いに来てくれてありがとう!」
二人は診察室を出ると蝶屋敷を出る支度をするため病室へと向かった。
「あ、あの・・・」
「ん?」
杏寿郎の病室の前にきよが来ていた。
「俺に何か用事か?」
「はい!香炉家の方がお部屋でお待ちです」
「・・・・」
『香炉家』と聞いて部屋の中を見る杏寿郎、自分の寝台の横には橘文様の羽織を着た青年がいた。
「煉獄杏寿郎様ですか?」
「ああ、そうだ」
「俺は香炉家の歌津羅(かづら)といいます。那津蒔殿よりあなたを香炉家に案内するよう依頼を受けて参りました」
杏寿郎が目覚めてから面会に来たあの日から那津蒔は時々顔を出していた。
そしてしのぶにも杏寿郎の容態が回復し、屋敷に戻れるほどになったら一度連絡をくれと声をかけおいたのだ。
〈那津蒔殿・・・〉
自分の意を汲んでくれている那津蒔には感謝してもしきれない。
「あなたの荷物は勝手ながら我々で片付けさせていただきました、後に煉獄家に送らせていただきます。
我々もあなたが早急に霧香様に会いたがっているとお聞きしたので、このままご案内したいと思いますがいかがでしょうか?」
「うむ!問題ない!」
「弟様はどうされますか?」
歌津羅は千寿郎を見る。
「弟も連れて行きたいのだがいいだろうか?」
「構いません。では、さっそく参りましょう」
なかなかハキハキ話す青年だ、きよに案内の礼を言うと部屋を出て行く。
杏寿郎と千寿郎もそれに倣うと後をついて行った。
香炉家は五大呪術家の中で『木』を司る一族だ。
主に植物の研究をしていて食料(野草、山菜)から薬、毒まで種類多く取り扱っている。
そして医学にも精通している、代替わりを拒否した鬼を処理した後、まずはここに運ばれる。
彼らの研究が後に一門全体に広がり、鬼のしくみが分かってきたのだ。
「霧香様は香炉家の病棟で療養されていますが、その病棟は『極秘』とされているため道案内をすることは禁じられています」
「では、どのように行くのだ?」
「霊脈を使い、場所を飛びます」
「場所を飛ぶ・・・?」
「言ってみれば一種の『瞬間移動』です、香炉家から霊脈を伝う場所に入り口を作り、そこを通って行くのです」
「それでは他の関係ない者が入り込んでしまう可能性もあるのではないか?」
「そこはご安心ください」
歌津羅は懐から筆を取り出す。
「今からあなた方の体に特殊な炭で印を書きます、その印を入り口に向けると入ることができます。
無関係な者が入り口に来たとしても印がなければ入る事はできません、そしてその印は目的が終われば自然と消滅し、入り口も消える・・・痕跡は残しません」
なるほど、必要なとき以外は使うことが出来ない。確かに精密且つ有効な術だ。
「あなた方の場合は霧香様が目が醒め、回復し、お屋敷に戻られる状態になるまでを『目的』とします」
話をしながら杏寿郎たちの手の甲に印を書く歌津羅。
「あと、このことは他言無用に願います」
「うむ!承知した!千寿郎もわかったな?」
「はい!」
「ありがとうございます、入り口はこちらです」
歌津羅は蝶屋敷の近くの一本の木の下まで行くと自分の体に書いた印を当てる。
すると空間が歪み、入り口が現れた。
「さあ、こちらです。お入りください」
「・・・・っ」
千寿郎は少し怖い気持ちになったが杏寿郎が手を握ってくれる。
「大丈夫だ、行こう」
「はい・・・」
兄弟は歪んだ空間に足を踏み入れた。