第28話 母の思い
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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『それはどんなものですか?』
「俺は父上に少しずつ昔のように戻ってほしいと考えています・・・」
『できるのですか?』
「ある方の言葉に勇気を貰いました。
『俺は俺であることを誇りに思う事』、『俺らしくあり、父上を変えていくこと』
父上にとって母上は大きな存在でした、俺にその役割は勤まらない、俺では不足だと思っていました。
でも俺一人で頑張る必要はないとその方が教えてくれました」
『そうですか』
「はい、そして俺にはもう一つ叶えたいことがあります、これは勇気をくれたその方と約束したことです」
『何です?』
「『己の命を犠牲にして弱き者を助ける強さ』よりも『共に生き抜く強さ』のある男になることです。
母上は『弱き者を守ることが強く生まれた者の役目』だと仰いました、それはこれからも守っていくつもりです。
しかし、俺は一人の女を守る男にもなりたい!あの娘と一緒に戦い、生き抜いて、天寿を全うすること!
難しい事ではありますが、俺は果たしてみたい!」
『杏寿郎・・・』
瑠火の頬に涙が流れた。
「は、母上?」
『あなたは本当に良い子に育ちました、本当に私は貴方の母になれて良かったっ・・・・」
顔を覆い、泣いている母を杏寿郎は抱きしめた。
「母上、あなたのおかげです。俺がこうして成長したのもあなたの力があったからこそです。
これからも俺と家族を見守って下さい、杏寿郎は母上との約束と願いを叶えるために心の炎を燃やします」
『・・・・・』
瑠火は頷いた。
『さあ、お行きなさい・・・皆さんが待っていますよ』
「はいっ!母上!ありがとうございました!」
杏寿郎は駆ける、皆の声の集まる方へ。
皆の姿の映る方へ・・・。
―――――――――――――――
「・・・・」
杏寿郎はスッと目を開けた。
白い天井が見える、周りも静かだ。
〈俺は・・・まだ、あの空間にいるのだろうか?〉
まだ視界がはっきりしないままボーっとしていると・・・。
「兄上っ!」
「・・・・」
横に視線を移すと見覚えのある髪の色が見える。
〈ああ・・・千寿郎か〉
視界が徐々に明確になっていく。
千寿郎だ、涙を浮かべた父親譲りの大きな瞳が自分を覗き込んでいる。
「兄上、僕が・・・僕がわかりますか?」
「ああ・・・せん、じゅろ・・・」
喉が渇いているのかうまく声が出せない。
「うっ・・うう・・・うわあぁぁん!!兄上っ!!兄上――――っ!!」
千寿郎は杏寿郎の手に顔を押し付けて泣き出した。
「何ですか!?この騒ぎは!!」
千寿郎の声を聞きつけたアオイが病室に入ってくる。
「つっ・・・煉獄様っ!しのぶ様!!しのぶ様!!大変です!!」
杏寿郎が目を覚ましたことに気付いたアオイも血相を抱えてしのぶを呼びに行った。
そこから診察にきたしのぶの他に騒ぎを聞きつけた炭治郎、善逸、伊之助もやってきて号泣するというお祭り(?)騒ぎになった。
「煉獄さ―――んっ!!よがっだ~~~!!よがっだでず―――っ!!」
「うおおおおぉぉっ!!ウホホホホッ!!」
「お前っ!泣いてんのか喜んでんのかどっちだよ!?」
「喜んでるに決まってるだろうがっ!!」
「被り物でわかんねーんだよっ!!紛らわしいわっ!!」
炭治郎は涙と鼻水で顔がグシャグシャ、伊之助は被り物の下から泣いているので何言ってるのかわからない、善逸は泣きながらも伊之助にツッコんでいる。
「やれやれ、これでは診察ができませんね。アオイ、お願いします」
「はい!しのぶ様!」
三人はその後、アオイと三人娘に連れられて病室を追い出された。
「さて、これで静かに診る事ができます」
触診や問診などを行い、杏寿郎の状態を記録していくしのぶ。
「香炉家の療養薬のおかげですね、内傷の回復も順調ですし、骨折もひと月もすれば完治するでしょう」
「そうか、ありがとう。胡蝶」
「いいえ、目覚められて一安心です」
ニッコリ微笑んだしのぶ。