第27話 煉獄家
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「危ない!父は元・柱です!」
炭治郎は愼寿郎の手の甲の一撃で打ち飛ばされる。
「父上!止めてください!」
千寿郎の制止も虚しく炭治郎は愼寿郎に殴られていく。
〈なんでだっ・・・ヒノカミ神楽が『日の呼吸』なら・・・そんなに凄いなら、何で二人を助けられなかったんだ!〉
殴られながらも自己嫌悪に陥る炭治郎。
「うわああああぁぁ―――!!」
ゴツッ!!
――――――――――――――――
〈やってしまった・・・〉
あの後、炭治郎の頭突きで殴り合いは収束したわけだが、頭に血が昇っていたとはいえ・・・なんてことを・・・。
「お茶です、どうぞ」
「ああ・・・ありがとう。
ごめんね、本当に・・・お父さん頭突いちゃって・・・・大丈夫だった?」
「大丈夫だと思います、目を覚ましたらお酒を買いに出かけて行ったので」
「そっか・・・」
「ありがとうございます」
「え?」
お礼を言って来た千寿郎に驚く。
「すっきりしました、兄を悪く言われても・・・僕は口答えすらできなかった・・・」
「・・・・・・」
「兄の容態と言葉を聞かせていただけますか?」
「は、はい!」
炭治郎は千寿郎に猗窩座と対した杏寿郎、霧香の戦闘、鬼が去った後のこと、手術後の経過を話した。
「そうですか、だからあの方が来たんですね」
「あの方?」
「海野家の那津蒔さんです」
「那津蒔さんが?」
千寿郎が杏寿郎が任務に行ってから数日後の話をしてくれた。
――――――――――――――――
「あんたかい?杏寿郎の弟っていうのは?」
今日と同じく掃き掃除をしていた千寿郎に声をかけてきた男がいた、那津蒔だ。
「あの・・・あなたは?」
「俺は波流門海野家の那津蒔だ、今日はお前と親父さんに用があってきた」
「僕と父上に?」
「兄貴の杏寿郎は任務で不在だろう?」
「はい」
「その任務で杏寿郎が死ぬかもしれない」
「!」
何を言われたのかわからなかった千寿郎。
「何を・・・言っているんですか・・・?」
「俺の妹が占った結果、お前の兄貴が今回の任務で非常に危ない目に遭うと出た。
俺の妹は先見の占いがもの凄い当たる上に勘が鋭い、間違いなく杏寿郎は瀕死の重傷を負う事になる」
千寿郎は箒を投げ出して那津蒔の着物を掴んだ。
「僕に何かできることはありませんか!?お願いします!兄上を救えるなら僕は何でもします!」
必死に縋りついてくる千寿郎、杏寿郎から聞いていたように兄弟の絆は余程強いと見える。
「『何でも』なんて軽々しく言うな、坊主」
那津蒔は膝をついた。
「お前の兄貴を救うために俺がここに来たんだ、もちろんお前の力も必要だ。
だが、少し痛い思いをすることになるが・・・いいか?」
「何をするんですか・・・?」
「『血』を別けてもらいたいんだ」
「血?」
ポカーンとする千寿郎。
「治療や手術をする際に外から血を体内に入れなきゃならんときがある、同じ型のやつなら拒否反応出ないとは思うが、なるべく体内に入れる人間の負担を減らしてやりたい。
だから親子、兄弟から血を分けてもらうんだ。その方が拒否反応はほぼないし、何より血液の型がほぼ同じだ。
これは弟であるお前が適任なんだ、協力してもらえるか?」
「っ・・・はい!」
千寿郎はこうして自分の血液を那津蒔に託すことになったのだ。
血を抜くといっても一人の人間では限度がある、那津蒔からは日を別けて血を抜くという事、抜いた日は必ず無理をせずに早く休むことを言い渡さた。
実際に血を抜いた日はフラフラしていて家のことが出来なかった、幸いにも海野家からの使いが来て滋養の付くものを差し入れてくれたので食べることは大丈夫だったのだが・・・。
「そうか・・・あの時、那津蒔さんが『血液は十分にある』って言っていたのはこのことだったのか」
ようやく理解が出来た炭治郎。
「父はその時は不在だったので血は取れませんでしたが・・・それでも兄上を助けることができたのでよかったです」
「うん・・・」
「あ、そうだ!」
ふと千寿郎が立ち上がる。
「兄から父上が良く読んでいた書物があると聞いたんですよね?
心当たりがあるので持ってきます、少々お待ちください」
一旦さがった千寿郎だがしばらくして一冊の本を手にして帰って来た。
「これではないかと思うのですが・・・」
その本には『二十一代目の炎柱』とあった、杏寿郎の言っていたのはこれだろう。
炭治郎はその本を開いてみた、しかし・・・。
「こ、これは・・・!」
「!」
中身は文字が読めないくらいにズタズタにされていた。
千寿郎の話では『歴代炎柱の書』は大切に保管されているはずなので中身がこんなにズタボロになっていることはないという。
おそらく愼寿郎が破いたのだろう。
「すみません・・・せっかく足を運んでくださったのに」
「いいえ、でも自分のすべきことは分かっています。
もっと鍛錬します、舞の手順を知っている『ヒノカミ神楽』ですら俺は使いこなせていないんです」
「そうなんですか・・・?」
「全集中の状態で『ヒノカミ神楽』を使うと体が思うように動かなくなります、俺の問題です。技に体が追いついていない。
全集中・常中で体力は向上しましたが、それでもまだ足りない・・・」
その時、霧香の顔が浮かぶ。